土俵祭

土俵祭（どひょうまつり）

土俵祭は大相撲における祭事であり、相撲の神聖な儀式の一環として位置づけられています。この祭りは、相撲がもともと神道に深く結びついていることから、神社での祭事において相撲が行われることが多い」「神事相撲」という背景があります。それにより、土地に根ざした相撲文化の中で、神々の加護を願うことは欠かせません。

祭の目的と祈願内容

土俵祭では「天地長久、風雨順次、五穀成就」の祈願が行われます。これは、安定した自然環境や豊穣を求めるもので、特に相撲神である戸隠大神、鹿島大神、野見宿禰の加護を願うことが重要視されます。これにより、相撲に携わる人々の安全や成功を祈るわけです。

参加者と役割

土俵祭の主催者は行司3名で、祭主は立行司、脇行司は幕内格と十枚目格から各1名が選ばれます。3人の行司は神官の装束を着用し、神聖な雰囲気を演出します。また、祭りには理事長や審判部の役職者、行司全員、立呼出しが参加します。

さらに、地方場所では担当部長や東西会、溜まり会の幹部が加わり、2010年9月からは監事や三役以上の力士も参加することが一般的となっています。

式次第と手順

現在の大相撲における土俵祭は、本場所の初日前日午前10時から約30分間行われます。具体的な式次第は以下の通りです：

1. 清祓いの儀：脇行司が土俵に上がり、土俵上の瓶子の蓋を取り、祓詞を奏上します。その後、榊を用いて参加者を清めます。
2. 祭主祝詞奏上：祭主は塩をまいて拝礼し、その後祝詞を奏上します。
3. 祭幣・献酒：脇行司が土俵の四隅に白幣を立て、献酒します。
4. 片屋開口故実言上：呼出しの柝の合図に合わせて祭主が軍配を振り言上します。
5. 鎮め物：中央にあらかじめ掘っておいた穴に勝ち栗や榧の実、昆布とするめ、洗米、塩を埋め、祭主が献酒します。
6. 直会：脇行司が参列者に御神酒を捧げます。
7. 触れ太鼓土俵三周：立呼出しが先頭となり、太鼓が土俵を3周します。

歴史と変遷

相撲の神々は初期の頃には明確な三神が定まっていなかったが、1945年頃には定まったと言われています。また、幣帛は7本あり、その一部は土俵を神聖な場として扱うために使用されます。触れ太鼓の周回数の変遷も見られ、1912年からは3周となっていますが、その背景については不明な点が多いです。

観客の参加とオンライン配信

土俵祭は基本的に観客に開放されており、相撲ファンがこの重要な儀式を見ることができます。しかし、2020年から2023年までの新型コロナウイルス感染症の影響で、公開が制限されることもありました。その際には、公式のYouTubeチャンネルでライブ配信が行われ、多くのファンがオンラインで観覧しました。

おわりに

土俵祭は本場所だけでなく、相撲部屋の稽古場の土俵を整備する際や、地方場所における土俵の設営時にも行われます。この祭りは、相撲の歴史と文化を深く理解するうえで貴重な重要性を持つ行事だと言えるでしょう。

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