土岐善麿

土岐善麿の生涯と業績

土岐善麿（1885年6月8日 - 1980年4月15日）は、日本の歌人であり国語学者としてきわめて重要な役割を果たした人物です。彼は「土岐哀果」という号を持ち、一部の作品でこの号を使用しましたが、1918年以降は本名の「善麿」を用いるようになりました。特に、1910年に発表した短歌集『NAKIWARAI』で注目を浴び、ローマ字三行書きのスタイルを採用した点が評価されています。彼の短歌には、日常の喜びや悲しみを詠んだ作品が多く収められており、生活歌の要素が色濃く表れています。

幼少期から学び舎へ

善麿は東京府の真宗大谷派の寺院、等光寺に生まれました。彼の父親は柳営連歌の最後の宗匠として知られ、学問の道を歩む家庭に育ちました。彼は東京府立第一中学校に進学し、ここでは後に著名な作家となる谷崎潤一郎や石坂泰三らとともに学びました。在学中には、学友会の雑誌に詩や短歌、俳句を投稿し、文才を育んでいきます。

善麿は早稲田大学の英文科に進み、島村抱月に師事。ここでは北原白秋とも同級生として交流を深め、田波御白や吉植庄亮といった先人たちとも出会い、影響を受けました。特に窪田空穂の影響で作歌へと情熱を注ぐようになり、若山牧水との親しい関係も築きました。

歌人としての活動

1910年に善麿は第一歌集『NAKIWARAI』を発表。これにより彼は短歌界において名を馳せ、ローマ字運動にも参加しました。独特の形式で詠まれたこの作品は、彼の名前を広める要因となり Subsequently,の短歌も多くの人々に読まれるようになります。翌年には第二歌集『黄昏に』を刊行し、ますます創作活動を活発に行いました。

その後、善麿は社会的関心を持つようになり、特に社会主義的な思想を取り入れるようになりました。1913年には読売新聞の特派員としての活動を通じて満州や朝鮮を訪問し、国際的な視野も広げていきました。彼はまた、石川啄木との交流を深め、共編する雑誌『樹木と果実』の計画を立てるものの、実現には至りませんでした。

言語学者としての貢献

先進的な歌人である一方、土岐善麿は国語学者としても高い評価を受けています。特に、国語国字問題についての著作や国語審議会の会長としての活動を通じ、日本語や国語教育の分野で大きな貢献を果たしました。1949年から12年にわたりこの役職を務め、現代国語や新字の導入に尽力しました。また、図書館行政にも関与し、多くの図書館で活躍しました。

晩年と死去

晩年の善麿は多彩な研究や創作活動を続けました。特に、仏教に関連した能の創作に取り組み、様々な芸術的な挑戦を続けました。1980年、彼は東京都目黒区の自宅にて心不全のため85歳で亡くなります。その生涯は、歌人としてだけでなく国語学者としても非常に意義深く、彼の影響は多くの分野に及んでいます。彼の業績は、歌や文学だけでなく、日本語教育や文化への貢献として、多くの人々に受け継がれています。

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