土方成美

土方 成美（ひじかた せいび）

土方成美は1890年に兵庫県に生まれ、日本の経済学の分野に多大な影響を与えた学者である。彼は東京帝国大学で教授を務め、経済学部長を任されるなど、学界での重要な地位を占めた。専門は理論経済学と財政学であり、特に「統制経済」の概念を日本に初めて紹介したことで知られている。

経歴

土方は、姫路市に生まれ、父の影響で岡山の第六高等学校へ進学。その後、東京帝国大学法科大学経済学科に入学し、1915年に首席で卒業した。大学時代には高等文官試験に合格したが、学問を続ける道を選び、1917年には法科大学の土方寧の養子となり、貞子と結婚した。彼には実家の経済的危機が背後にあったともされ、その影響から「当時、生家を抜け出したかった」という心情も述べている。

1917年に助教授に昇進し、翌年にはアメリカ、フランス、スイスへ留学することになる。帰国後の1921年には教授に昇任し、以降は「統制経済」の理論を展開し始める。彼の提唱したこの概念は、自由主義経済の問題点を政府の統制によって解決するというものであり、計画経済とは明確に区別される。

また、土方は日本経済についての実証研究も行い、当時未開拓の分野であったため、彼の業績は学界で高く評価された。しかし、研究の陰では弟子たちが薄給でゴーストライターとして彼の著作を支えていたという実態もあり、1929年にはこの状況が批判されることとなった。

1933年から1936年、1937年から1938年にかけて経済学部長を務め、学部内の派閥抗争の渦中に身を置くことになる。特に河合栄治郎をはじめとする自由主義派との対立は激しさを増し、最終的には言論の自由を標榜する大学が彼のみを辞職させることは難しいという状況が生じた。結果として、1939年には新しい総長からの休職処分を受け、一時的に職を失った。東大追放後も中央大学や近畿大学で教鞭を執り続け、戦後も精力的に教育活動を行った。

年譜

土方の生涯を振り返ると、彼は多くの出来事や成果を残している。

• - 1890年 7月10日：姫路市に生まれる。
• - 1915年 5月：東京帝国大学を首席で卒業。
• - 1921年 6月：帰国後、教授に昇任。
• - 1933年 4月：経済学部長に就任。
• - 1939年 2月：休職処分を受ける。
• - 1945年 6月：中央大学経済学部長に就任。
• - 1964年 3月：中央大学定年退職後、獨協大学へ赴任。
• - 1975年 2月15日：死去。

著作

土方は多くの著作を残しており、その中でも以下のものが特に重要である。

• - 『財政学の基礎概念』(1923)
• - 『経済学総論』(1928)
• - 『ファッシズム』(1932)
• - 『経済体制論』(1969)
• - 『ケインズ経済政策批判』(1974)

彼の研究は、日本の経済学の発展に寄与しただけでなく、今日においてもなお学問的な価値を持ち続けている。土方成美の業績と思想は、後の運動や研究に影響を与え、多くの学者たちに引き継がれている。

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