土方寧

土方寧（ひじかた やすし）

土方寧は、安政6年（1859年）に土佐国高岡郡佐川村（現在の高知県高岡郡佐川町）で土佐藩士の子として生まれ、昭和14年（1939年）に没した、日本の法学者、貴族院勅選議員です。民法学を専門とし、東京大学法学部教授、法科大学長などを歴任し、日本の法学研究と教育に大きく貢献しました。

経歴

土方寧は、明治維新後の1873年（明治6年）から、東京英語学校、開成学校、大学予備門で学びました。1878年（明治11年）には東京大学法学部に入学し、1882年（明治15年）に卒業しました。

卒業後は文部省御用掛となり、翌年には東京大学法学部（のち東京帝国大学法科大学）助教授に任命されました。また、英吉利法律学校（のち中央大学）の創設発起人にも名を連ね、講師も務めました。1887年（明治20年）からはイギリスのミドル・テンプルに留学し、法学の研究を深めました。1891年に帰国した後は教授に昇進し、また法学博士の学位を取得しました。1893年（明治26年）からは法典調査会の委員を務め、日本の法典編纂に携わりました。1911年（明治44年）には法科大学長に就任し、1918年（大正7年）まで務めました。

1922年（大正11年）12月19日には貴族院議員に勅選され、その職を亡くなるまで務めました。貴族院では、法律問題に関する審議に積極的に参加し、法学の専門家としての知見を活かして、日本の法制度の発展に貢献しました。

栄典

土方寧は、その功績により、数々の栄典を授与されています。

1886年（明治19年）7月8日 - 従七位
1891年（明治24年）12月21日 - 正七位
1897年（明治30年）2月10日 - 正六位
1911年（明治44年）7月20日 - 正四位
1916年（大正5年）8月21日 - 従三位
1897年（明治30年）12月28日 - 勲六等瑞宝章
1901年（明治34年）12月27日 - 勲五等瑞宝章
1903年（明治36年）5月21日 - 金杯一個
1914年（大正3年）6月29日 - 勲二等瑞宝章
1924年（大正13年）6月30日 - 勲一等瑞宝章

親族

土方寧の親族には、政治家や学者などがいます。

小寺謙吉 - 妻富子の弟。衆議院議員。
土方成美 - 娘貞子の夫。経済学者。

人物

土方寧は、温厚篤実な人柄で、多くの人々から信頼されていました。法学の研究者として、また教育者として、多くの人材を育成し、日本の法学の発展に大きく貢献しました。門下からは石坂音四郎、末延三次などの人材を輩出しています。

参考文献

花房吉太郎, 山本源太 編『日本博士全伝』,法学博士 土方寧君,博文館,1892. 国立国会図書館デジタルコレクション
五十嵐栄吉『大正人名辞典』東洋新報社、1917年。
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

もう一度検索