土肥米之

土肥米之の生涯

土肥米之（どひ よねゆき）は、1898年（明治31年）に広島県で生まれ、1990年（平成2年）に92歳で没した日本の官僚、弁護士です。彼は、内務官僚として地方行政に深く関わり、戦前と戦後の激動期にそれぞれ県知事を務めました。

若き日の土肥米之

土肥は、広島県で生まれ、第六高等学校を経て、1922年に東京帝国大学法学部法律学科を卒業しました。1921年には高等試験行政科試験に合格しており、若くしてその才能を発揮していました。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業後、土肥は内務省に入省し、三重県属としてキャリアをスタートさせました。その後、島根県、新潟県、北海道庁で警察部長を歴任し、宮城県、兵庫県、大阪府で総務部長を務めるなど、地方行政の中枢で活躍しました。さらに、四国地方行政協議会参事官にも任命され、その手腕を発揮しました。

戦時下の知事経験

1942年1月、土肥は鳥取県知事に就任しました。当時、日本は戦時体制下にあり、土肥は統制経済の円滑な実施と翼賛体制の確立に尽力しました。しかし、1943年7月には知事を辞任しました。

1945年4月、終戦間近の混乱期に土肥は愛媛県知事に就任します。彼は戦後の復興に尽力しましたが、同年10月27日に依願免本官となり退官、その後公職追放となりました。

戦後の活動

公職追放解除後、土肥は弁護士として活動を開始し、広島県公安委員会委員長、広島地方裁判所福山支部調停委員、広島家庭裁判所福山支部調停委員など、地域社会に貢献する活動を続けました。

土肥米之の人物像

土肥米之は、内務官僚として、また弁護士として、それぞれの時代において、その責任と役割を全うしました。戦前と戦後という、日本の大きな転換期に、地方行政を担った彼の経験は、今日の地方自治を考える上で重要な示唆を与えてくれます。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の官僚の姿を示すと共に、日本の近現代史を理解する上で貴重な資料となるでしょう。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『現代物故者事典 1988～1990』日外アソシエーツ、1993年。

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