土肥豊隆

土肥豊隆は、寛永16年（1639年）に生まれ、享保17年1月6日（1732年2月1日）に没した江戸時代初期の茶人です。有楽流（織田貞置流）の茶人として知られ、三河吉田藩の藩士でもありました。通称は孫兵衛、土肥二三（じさん）と名乗り、自在軒と号しました。

来歴

土肥豊隆は、三河吉田藩において物頭役として200石を知行していました。藩士としての職務をこなしながらも、多岐にわたる趣味を持っていました。平家物語を巧みに吟じ、奏でた琵琶は「杜鵑」という銘のある秘蔵の逸品でした。また、挿し花や香道にも通じ、伽羅の名香を所蔵するなど、風流を好む人物でした。

茶道においては、有楽流を織田貞置に師事して修めました。しかし、一子を失ったことをきっかけに世を儚み、元禄3年（1690年）に致仕しました。その後、京都の岡崎に草庵を結んで隠棲し、風流三昧の余生を送りました。

自在軒

隠棲後、自らを「塵に交りて　世をいとふ身こそやすけれ　空に心を　任せて」と詠み、自在軒と号しました。この号は、世俗を離れ、自由に生きる彼の心情を表していると言えるでしょう。

享保17年1月6日（1732年2月1日）、94歳という長寿を全うしました。

交流

数寄者として知られた土肥豊隆は、近衛家煕や鷹司輔信といった公家とも交流がありました。また、土佐藩士の谷村自足など、多くの門人を育てました。彼の茶道や風流に対する知識や精神は、門人たちを通じて後世に受け継がれていきました。

茶道相伝系譜

（具体的な系譜については、参考文献をご参照ください。）

参考文献

『近世畸人伝(正・続)』
『朝日日本歴史人物事典』
『日本人名大辞典』
『土佐茶人系譜』甲藤勇著

土肥豊隆は、藩士としての務めを果たしながらも、茶道をはじめとする様々な文化に精通し、独自の美意識を追求した人物でした。彼の生き方は、現代においても、私たちに豊かなインスピレーションを与えてくれます。

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