鷹司輔信

鷹司輔信（たかつかさ すけのぶ）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した公家であり、茶人としても知られています。関白・鷹司房輔の三男として生まれましたが、母は家女房でした。号は有隣軒。

生涯

壮年期から眼疾を患っていたためか、生涯無位無官で過ごしました。しかし、茶道への情熱は深く、慈胤法親王に茶を学び、独自の茶の世界を築き上げました。自筆の和歌懐紙や自作の茶碗、茶杓などが現存しており、彼の美意識と茶道への造詣の深さを今に伝えています。また、釜など好みの茶道具も残されています。

晩年は剃髪し、洛東頂妙寺内の蓮乗院に住みました。寛保元年（1741年）10月3日に亡くなりました。享年については74歳とする説など諸説ありますが、史料の多くは62歳と記しています。ただし、62歳で没したとすると、生年は延宝8年（1680年）となり、長女である八重姫の生年（元禄2年（1689年））と矛盾が生じるため、62歳という記述は誤記である可能性が高いと考えられています。

茶人としての交流

鷹司輔信は、茶人として土肥自在軒らとも交流がありました。当時の文化人たちとの交流を通じて、茶道の世界をさらに深めていったと考えられます。

系譜

鷹司輔信は、花山院定誠の娘と、久我通誠の娘と婚姻関係を結びました。また、家女房との間にも子を儲けています。

室：花山院定誠娘
室：久我通誠娘
家女房
長女：八重姫（養仙院） - 鷹司兼熙養女のち徳川綱吉養女、徳川吉孚正室
長男（早世）
次女：小石君（養心院） - 毛利吉広正室
三女：日慈 - 瑞龍寺貫主
四女：八百君 - 花山院常雅室

鷹司輔信は、公家としての身分にありながらも、茶人として独自の道を歩み、後世に多くの茶道具や書を残しました。彼の生涯は、茶道という文化を通じて、自己を表現し、時代と交流した人物として記憶されるでしょう。

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