織田貞置

織田貞置について

織田貞置（おだ さだおき）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した高家旗本であり、著名な茶人でもあります。織田信長の孫にあたり、通称は左京亮、五郎左衛門、主計頭と称しました。官位は従五位下・侍従。一谷茅翁、永年堂、黄雀軒、文芳翁、山花、三過老人など、多くの号を持ちました。

生涯

織田信貞の次男として誕生し、幼名は出来丸と名付けられました。寛永元年（1624年）に父・信貞の死去により1000石の領地を相続したとされ、同年には禁裏造営奉行を務めたとも伝えられています。寛永7年（1630年）には2代将軍・徳川秀忠に御目見えし、後に小姓組に加えられました。ただし、寛永元年当時には父・信貞が浪人中であったため、寛永7年に召し抱えられた可能性も指摘されています。また、兄の藤四郎信次は病弱のため家督を継ぐことができませんでした。

寛文3年（1664年）12月19日に高家に就任し、同年12月25日には従五位下・侍従に叙任されました。延宝7年（1679年）3月15日に高家を辞職し、天和2年（1682年）6月2日に隠居、養老料として300俵が支給されました。家督は長男の長迢が相続しました。宝永2年（1705年）6月2日に89歳で死去し、墓所は東海寺清光院にあります。以降、歴代当主も同院に葬られました。明治期には15基の供養塔が一つにまとめられました。

人物

貞置は、祖父である織田信長を深く尊敬しており、「織田信長像」（名古屋市・總見寺蔵）を描かせるなど、信長や織田一門の事績収集に熱心でした。また、信長が横死した本能寺の変と同じ6月2日に隠居し、同日に亡くなっています。

茶人としては、千利休の高弟であり台子の伝者とされる高橋玄旦から点前を伝授されました。慶安4年（1651年）に織田長益の孫・長好が亡くなると有楽流を継承し、信次の子で養子とした貞幹や松本見休など、多くの門弟を抱えました。長益の茶説を『貞置集』としてまとめ、有楽流の茶道を後世に伝えました。貞置以降のものを貞置流と呼ぶこともあります。門人には三河吉田藩士の土肥自在軒（二三翁）らがいます。

茶道相伝系譜

（省略）

系譜

貞置は4男3女をもうけました。

父：織田信貞
母：不詳
本人：織田貞置
正室：佐久間正勝娘
長男：織田長迢
継室：織田長政次女
三男：織田貞則
四男：織田貞輝
継室：鳥居忠勝娘
養子：織田貞幹（兄織田信次の子）
生母不明
男子：宥純
女子：笹治数馬室のち竹内幸和室
女子：京極高成室
* 女子：鳥居忠重室

三男貞則と四男貞輝は分家して旗本となり、養子の貞幹は尾張徳川家の家老となりました。

このように、織田貞置は、武家としての役割を果たす傍ら、茶人として独自の流派を形成し、文化的な面でも大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。

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