土門一美

土門一美（1947年3月28日 - 2005年2月24日）は、日本の競馬史にその名を刻んだ名調教師です。京都府京都市出身。元騎手、元調教師である土門健司氏の息子として生まれました。幼少期は自身も騎手を志望していましたが、成長に伴い身長が伸びすぎたため、その夢を断念することになります。

高校卒業後の1965年、調教師に転身していた父・健司氏の元で厩務員として働き始めます。1966年には調教助手となり、その地位で10年間研鑽を積みました。そして1980年、3度目の挑戦で念願の調教師免許を取得します。しかし、開業直後は馬房の都合により、技術調教師として過ごしました。1981年6月、満を持して自身の厩舎を開業すると、7月には移籍してきたオーバーレインボーで金鯱賞を制し、重賞初勝利を飾ります。

開業後は順風満帆の時代が続きます。1982年には調教技術賞、1983年には6つの重賞競走を制覇し、優秀調教師賞と重賞獲得調教師賞を受賞しました。そして1984年、管理馬カツラギエースが宝塚記念を制し、土門一美氏のGI初制覇を成し遂げます。さらに同年秋、国際招待競走であるジャパンカップに挑みました。当時、この競走では日本馬は3連敗しており、ミスターシービーやシンボリルドルフといった三冠馬が出走する中、カツラギエースは11番人気と低評価でした。しかし、西浦勝一騎手の好騎乗により、スローペースからの逃げ切り勝ちを収め、日本馬として初のジャパンカップ制覇という快挙を達成します。この年は、ジャパンカップを含む5つの重賞競走を制し、重賞獲得調教師賞を2年連続で受賞しました。なお、カツラギエースは、馬主である野出一三氏の父・長一氏の所有馬で、健司氏が管理していた馬であり、一美氏への開業祝いとして贈られたという縁がありました。

1985年には同馬主のカツラギハイデンで阪神3歳ステークスを制し、1990年には野出長一氏の所有馬オサイチジョージで宝塚記念を優勝するなど、GI競走4勝という輝かしい成績を残しました。同年にはオサイチブレベストが地方交流競走の帝王賞を制覇するなど、土門厩舎は隆盛を極めました。

しかし、華々しい活躍の裏には、土門一美氏の酒好きという一面がありました。競馬ブック編集局員の村上和巳氏によると、土門氏はかなりの酒豪で、小倉競馬場開幕週には、京都駅から新幹線車内で大量の酒を飲み続け、小倉到着後も飲み歩いたという逸話が残っています。この豪放磊落な性格も、土門一美氏の人物像を形成する要素の一つと言えるでしょう。

晩年は、肝硬変を発症し闘病生活を送ることになります。それに伴い、管理馬の成績は下降線を辿り、重賞勝利からは遠ざかりました。また、可愛がっていた所属騎手の事件や、信頼していた調教助手の急死といった不幸も重なり、土門氏は辛い日々を送ることになりました。

2005年2月24日、57歳という若さで、調教師在職のまま病気のため死去しました。通算4025戦288勝、重賞20勝という素晴らしい成績を残し、競馬界に大きな足跡を残しました。その功績は、多くの競馬ファンによって今も語り継がれています。土門一美氏の活躍は、日本の競馬界において、常に記憶されるべき偉業の一つと言えるでしょう。GI競走4勝を含む重賞20勝という輝かしい戦績は、その実力と才能を物語っています。 彼の指導の下で多くの名馬が誕生し、日本の競馬界に多大なる貢献を果たしました。その功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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