圧着工具

圧着工具と圧着ペンチ（電工ペンチ）

電気配線工事に欠かせない圧着工具と圧着ペンチ（電工ペンチ）。これらは電線と端子を圧着接続するために使用される工具ですが、それぞれに特徴があります。圧着工具はJIS規格で規定されており、圧着の信頼性を重視した工具です。一方、圧着ペンチ（電工ペンチ）は、圧着機能に加えて電線の切断や被覆剥きなどの機能も備えた多機能工具です。

圧着工具

圧着工具は、主に屋内配線や屋側配線で使用される銅線用裸圧着端子やスリーブを圧着するために使用されます。手動、手動油圧、足踏油圧、電動機械、電動油圧式など、様々な方式が存在します。圧着後の性能は、JIS規格（端子はJIS C 2805、スリーブはJIS C 2806）で規定された値を満たす必要があり、信頼性の高い圧着接続を実現するために、圧着成形の確認機構を備えています。手動式や電動機械式の圧着工具は、ダイス部間の距離が規定値に達するまでダイスが開かない機構が搭載されており、適切な圧着が完了すると自動で解除されます。油圧式の場合は、ピストンロッドの位置表示や圧力制御装置によって、圧着の完了を判断できるようになっています。また、圧着後には使用したダイスが確認できるように、圧着マークが端子部材に表示されます。

圧着端子の取り付け方

圧着端子を取り付ける際は、電線の被覆を端子の差し込み長さよりも1mm程度長く剥き、芯線は捩らずに先端が1mm程度出るようにします。芯線を捩ると端子に入りにくくなるだけでなく、圧着効果も低下するため注意が必要です。

圧着ペンチ（電工ペンチ）

圧着ペンチは、電気工作や自動車の配線など、幅広い用途で使用される多機能工具です。JIS規格には規定されていませんが、圧着機能に加えて、電線の切断、被覆剥き、ボルトの切断といった機能が備わっています。先端部ではキャップ型端子の圧着も可能です。特に、平型端子やギボシ端子とコードを接続する際に便利です。

圧着ペンチのアゴは独特の形状をしており、端子のツメを巻き込むように圧着します。使い方は、まずワイヤーストリッパー機能で被覆を剥き、芯線をクリンパー部にセットして圧着します。その後、被覆部分のツメ幅に合わせて圧着することで、端子を確実に固定できます。

ボルトカッタ機能

圧着ペンチには、ボルトカッタ機能も備わっています。この機能を使用すると、長すぎるボルトをねじ山を潰すことなく切断できます。適切なサイズの穴にボルトをねじ込み、切りたい位置を圧着ペンチの中央に合わせて切断することで、切断後もそのまま使用できる状態を保てます。

圧着ペンチの短所

圧着ペンチは多機能である反面、専用工具に比べてレバー比が劣るという短所があります。ニッパーやペンチ、ワイヤーストリッパーなどの専用工具を所有している場合は、それらを活用した方が効率良く作業できる場合もあります。

主なメーカー

圧着工具や圧着ペンチを製造している主なメーカーは以下の通りです。

マーベル（MARVEL）
ジェフコム（デンサンDENSAN）
ホーザン（HOZAN）
ロブテックス
泉精器製作所
エンジニア
クニペックス（KNIPEX）
新東京エンジニアリング（STE）
ヒーロー電機（HERO）
iwiss - 中国の世界最大の圧着工具サプライヤー（日本国内ではエーモンと泉精器が同社からOEM供給を受けています。）
エーモン - 日本国内で一番多く使われている

脚注

加藤芳夫『電子工作工具活用ガイド』株式会社電波新聞社、2008年、45-47頁
日本端子株式会社カタログ（圧着工具）

関連項目

圧着
工具
圧着端子
* 全自動圧着機

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