在イラク日本国大使館

在イラク日本国大使館の歴史

在イラク日本国大使館は、イラクの首都バグダードに設置されている日本の在外公館です。その歴史は、1939年11月にバグダードに開設された在イラク日本帝国公使館に遡ります。しかし、第二次世界大戦中の1943年1月にはイラク王国が日本を含む枢軸国に宣戦布告したため、公使館は閉鎖されました。

戦後の1952年4月、サンフランシスコ平和条約の発効により日本が独立を回復すると、イラク王国も同条約の締結国の一つであったことから、1955年8月には日本とイラクの外交関係が再開されました。その後、1958年7月にイラク王国でクーデターが発生し、王制が崩壊しましたが、新たに成立したイラク共和国は日本との国交を継承しました。そして、1960年1月に在イラク日本国大使館が開設されました。

しかし、1990年8月にイラクがクウェートに侵攻し、湾岸危機が発生すると、日本はイラクの行為に抗議し、1991年9月には在イラク大使を引き上げ、大使館は一時閉鎖されました。その後、2003年3月にアメリカ軍を中心とする有志連合がイラクに侵攻し、バアス党政権が崩壊。2004年6月にはイラク暫定政権が発足したことを受け、日本は同政府を承認し、大使館を再開しました。

近年では、2019年12月に親イラン派デモ隊が在イラクアメリカ合衆国大使館を襲撃し、2020年1月にはアメリカ軍がイラン革命防衛隊の司令官を殺害したことを受け、在イラク日本国大使館は査証発給業務を一時停止し、一時閉鎖されました。その後、2020年2月には大使館業務が再開され、査証発給業務も再開されています。これらの出来事は、イラク情勢が不安定であり、大使館の活動もその影響を受けていることを示しています。

大使館の役割

在イラク日本国大使館は、日本とイラクの二国間関係を維持・発展させるために重要な役割を担っています。具体的には、以下の業務を行っています。

外交交渉：イラク政府との間で、政治、経済、文化など様々な分野における協議や交渉を行います。
情報収集：イラクの政治、経済、社会情勢に関する情報を収集し、日本政府に報告します。
邦人保護：イラクに在留する日本人や旅行者を保護するための活動を行います。
広報文化：日本の文化や魅力をイラクに紹介するための活動を行います。

所在地と関連施設

大使館はイラクの首都バグダードに位置しています。また、イラク北部には在エルビル領事事務所が設置されており、査証発給業務など一部業務を行っています。

関連事項

イラク日本人外交官射殺事件: 2003年、イラクで日本人外交官が射殺された事件。
奥克彦: イラク北部で殉職した外交官。
井ノ上正盛: イラク北部で殉職した外交官。
在エルビル領事事務所: イラク北部クルド人自治区のエルビルにある領事事務所。
駐日イラク大使館: 日本にあるイラクの大使館。
城田安紀夫: 1990年8月の湾岸危機勃発時の臨時代理大使。

外部リンク

在イラク日本国大使館
在イラク日本国大使館（アラビア語）
在イラク日本国大使館（英語）
在イラク日本国大使館 (JapanInIraq) - Facebook（アラビア語）
* 在イラク日本国大使館 (JapanInIraq) - Facebook（英語）



在イラク日本国大使館は、イラクの政治情勢に左右されながらも、両国間の外交関係を維持する上で重要な役割を果たしています。

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