在中華民国日本国大使館

在中華民国日本大使館について

在中華民国日本大使館（ざいちゅうかみんこくにほんこくたいしかん）と、その前身である在中華民国日本帝国大使館は、かつて中華民国に設置されていた日本の在外公館です。中華民国は、その歴史の中で分裂や領土の大幅な変動を経験しており、日本の大使館や公使館が置かれた都市も時代によって変化しました。

歴史的背景

当初、日本は中華民国に対し、清朝時代から継続して在中華民国日本帝国公使館を設置していました。しかし、日華関係の改善を目指し、公使館を大使館に格上げする動きが起こります。1935年、広田弘毅外相のもとで、公使館は在中華民国日本帝国大使館へと昇格しました。この際、広田外相はイギリス、フランス、アメリカ、ドイツに対しても在華公使館の大使館格上げを働きかけ、各国の同意を得ています。

しかし、こうした対中融和政策に対し、日本軍部は強く反発し、華北分離工作を強化しました。広田外相も、この動きに引きずられる形で対中姿勢を硬化させ、汪兆銘行政院長ら国民政府内の親日派が失脚する要因となりました。

1940年3月30日、親日派の汪兆銘が南京に政権を樹立し、重慶に拠って日本と対立する蔣介石政権と袂を分かちました。南京の帝国大使館は、1945年8月15日に日本が連合国に降伏し、日中戦争が終結するまで存続しました。

国共内戦と台湾への移転

日中戦争終結後、1946年7月には、中国大陸で蔣介石率いる中華民国国民政府と毛沢東率いる中国人民解放軍との間で国共内戦が勃発しました。1949年までに人民解放軍が台湾とその周辺島嶼を除くほぼ全土を占領し、同年10月1日には中華人民共和国が成立しました。

一方、台湾へ移転した中華民国行政院は、1951年1月17日に日本政府が提出した在台湾代表派遣要請を受け入れました。同年10月1日、日台両国は日本政府在外事務所が設置されることを発表し、11月17日には台北市に在台北日本政府在外事務所が開設されました。

1952年に日本は台湾側と日華平和条約を締結し、国交樹立に伴い中華民国の臨時首都である台北に在中華民国日本国大使館が設置されました。また、1963年4月1日には、大使館に併設される形で在台北日本国総領事館が新設されました。

日中国交正常化と大使館の閉鎖

1972年9月29日、日中国交正常化に伴い、日華（日台）両国は国交を断絶しました。これにより、両国に設置されていた大使館と総領事館も全て廃止されました。日華断交後は、台湾における日本の実務機関として交流協会（現・日本台湾交流協会）が設置され、現在に至っています。

まとめ

在中華民国日本大使館は、日本の対中外交において重要な役割を果たした在外公館でした。その歴史は、日中関係の変遷、国共内戦、そして日中国交正常化といった、複雑な歴史的背景と深く結びついています。

関連項目

在日本国中華民国大使館
駐中華民国日本大使
日本台湾交流協会
在中華人民共和国日本国大使館

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