在韓米軍地位協定

在韓米軍地位協定：米韓SOFAの全貌

在韓米軍地位協定（SOFA）は、1953年10月1日、米韓相互防衛条約に基づき締結された協定です。正式名称は『大韓民国とアメリカ合衆国との間の相互防衛条約第4条に基づく施設及び区域並びに大韓民国における合衆国軍隊の地位に関する協定』と長く、在韓米軍の駐留に必要な施設、区域の提供、返還、警備、維持などを詳細に定めています。この協定は、米韓相互防衛条約の有効期間中のみ効力を持ちます。

協定の締結と改訂

朝鮮戦争勃発（1950年6月25日）を受け、国際連合安全保障理事会決議と米韓相互防衛条約に基づき、韓国へのアメリカ軍配置が決定されました。この状況に対応するため、在韓米軍の駐屯に関する詳細な手続きなどを規定したSOFAが、1966年7月9日に署名され、1967年2月9日に発効しました。その後、1991年2月1日と2001年2月28日に改訂が行われています。

2001年の改訂では、殺人、強姦、放火、麻薬取引など12種類の重大犯罪について、米軍被疑者の身柄引き渡し時期が大きく変更されました。従来は「裁判終結時点」でしたが、「起訴時点」に早められ、大韓民国からの引き渡し要求があれば、起訴前でも引き渡し可能となりました。

さらに、韓国の環境関連法令の尊重を求める環境条項が法的効力を持つ合意議事録に明記され、「環境保護に関する特別了解覚書」が締結されました。この覚書では、米軍施設の環境関連共同調査、アメリカ側による環境管理実績評価、主要汚染源の除去努力などが盛り込まれています。

労務問題に関しては、米軍基地内の韓国人勤労者の労動争議冷却期間を70日から45日に短縮する一方、解雇要件を厳格化し、国内労働法適用排除基準を強化しました。

その他、米軍食品用輸入品の合同検疫の実施、米軍基地施設と地域社会の健康・公共安全に関する事前協議、在韓米軍クラブやゴルフ場などに対する韓国人の出入り規制強化などが盛り込まれています。

この2001年の改訂は、悪質な米軍犯罪者身柄引き渡し時期の繰り上げと環境条項の新設が評価されましたが、環境犯罪行為者の処罰と原状回復規定が欠けていた点が課題として残りました。

SOFAの構造

SOFAは、31条からなる本文と、合意議事録、了解事項、交換書簡などの後続文書で構成されています。さらに、了解覚書や合同委員会合意事項などがこれらを補完しています。

主要内容は、アメリカの定義、施設と区域、公益事業と用役、受け入れ国の法令の尊重、出入国、通関と関税、船舶と航空機のトランジットなど、在韓米軍に関連する多岐にわたる事項です。中でも、刑事裁判権は特に重要視されており、協定第22条に詳細な規定があります。

在韓米軍のエリア別配置

SOFAに基づき、在韓米軍はいくつかのエリアに配置されています。主なエリアは以下の通りです。

Area I：USAG Red Cloud（キャンプ・レッド・クラウド）
Area II：USAG Yongsan（龍山基地）
Area III：USAG Humphreys
Area IV：USAG Daegu（キャンプ・キャロル、キャンプ・ヘンリー等）
Area V：Osan（烏山空軍基地）
Area VI：Kunsan（群山空港）

関連事項

米韓連合司令部
議政府米軍装甲車女子中学生轢死事件
* 在韓米軍漢江毒劇物無断放流事件

SOFAは、在韓米軍の地位と活動に関する重要な国際協定であり、その内容と歴史的背景、そして社会への影響を理解することは、日韓関係を考える上で重要です。

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