地底の歌

映画『地底の歌』について

『地底の歌』は、平林たい子の同名小説を原作とした1956年公開の日本映画です。日活が製作し、野口博志が監督を務めました。この映画は、戦後の混乱期におけるやくざ社会を背景に、翻弄される人々の姿を描いています。原作小説は、『朝日新聞』に1948年に連載され、その社会的なテーマと衝撃的な内容が話題を呼びました。

物語のあらすじ

物語の中心となるのは、山田花子、伊豆トキ子、市川松江という三人の女学生です。彼女たちは、ひょんなことから博徒の世界に興味を持ち、足を踏み入れます。しかし、その好奇心は彼女たちを危険な状況へと導いてしまいます。

山田花子は、やくざの「びっくり鉄」に騙され、美人局の道具として利用され、体を売ることを強要されてしまいます。友人である鶴田や伊豆は花子の行方を必死に探しますが、なかなか見つけることができません。物語は戦時下へと進み、やくざ同士の抗争が激化する中で、それぞれの運命が交錯していきます。

映画の魅力

本作の見どころの一つは、戦後の社会情勢を背景にした、やくざの世界の生々しい描写です。欲望渦巻く社会の中で、人々がどのように生き、どのように翻弄されていくのかが、リアリティをもって描かれています。また、女性たちの悲劇的な運命を通して、社会の暗部を浮き彫りにしている点も本作の重要なテーマです。

主要な登場人物

鶴田光雄：主人公の一人。花子の行方を捜す。
伊豆荘太：鶴田と共に花子を捜す。
伊豆里子：伊豆の妹。
伊豆トキ子：花子の友人。博徒の世界に興味を持つ。
山田花子：物語の中心人物。やくざに騙され、体を売られてしまう。
市川松江：花子の友人。
びっくり鉄：花子を騙したやくざ。
ダイヤモンドの冬：やくざ。

スタッフ

製作：浅田健三
監督：野口博志
助監督：河辺和夫
脚本：八木保太郎
原作：平林たい子
撮影：永塚一栄
音楽：原六郎
美術：大鶴泰弘
録音：高橋三郎
照明：河野愛三
編集：辻井正則
スチール：浅石靖
製作主任：中井景

キャスト

鶴田光雄：名和宏
伊豆荘太：二本柳寛
伊豆里子：坪内美詠子
伊豆トキ子：美多川光子
山田花子：香月美奈子
市川松江：東谷暎子
岩田辰子：山根寿子
おかる八：菅井一郎
吉田大龍：深見泰三
ダイヤモンドの冬：石原裕次郎
びっくり鉄：高品格
本ちゃん：三島謙
一郎：深江章喜
腕文：瀬川路三郎
桂庵の男：山田禅二
鬼若の里：弘松三郎
目黒：雪岡純
矢上：美川洋一郎
若い男：柳瀬志郎
坊主の男：峰三平
女中：雨宮節子
戸田：衣笠一夫
看守：宮原徳平
客：河野弘

その後の展開

『地底の歌』は、1963年に鈴木清順監督によって『関東無宿』として再映画化されています。同じ原作を基に、異なる視点からやくざの世界を描いているため、見比べてみるのも面白いでしょう。

外部リンク

地底の歌 - allcinema
地底の歌 - KINENOTE
－ 石原裕次郎専科 － - ウェイバックマシン（2019年1月1日アーカイブ分）
* － 石原裕次郎専科 － 地底の歌 - ウェイバックマシン（2019年3月30日アーカイブ分）

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