地御前神社

地御前神社：厳島神社と繋がる歴史と伝統

広島県廿日市市地御前にある地御前神社は、厳島神社と切っても切れない関係を持つ由緒ある神社です。厳島神社の対岸に位置し、古くから厳島神社の外宮として崇敬を集めてきました。その歴史は古く、創建は厳島神社とほぼ同時期と伝えられています。文献に記録として現れるのは平安時代末期の仁安3年（1168年）で、「伊都岐島社神主佐伯景弘解」には、当時19もの神殿舎屋が存在したことが記されています。このことから、平安時代には既に相当な規模を誇っていたことが伺えます。

境内：歴史を刻む建造物

現在の境内には、幾度かの改修を経てきた歴史を感じさせる建造物が静かに佇んでいます。本殿は五間社（背面六間）流造、客人宮本殿は三間社流造で、いずれも宝暦10年（1760年）の再建です。江戸時代の建築様式を伝える貴重な建造物として、地域の文化遺産を象徴しています。拝殿は入母屋造で、大正3年（1914年）に再建されました。また、明治31年（1898年）に建立された鳥居は、参拝者を迎えるシンボルとして、境内の風格を高めています。これらの建造物は、長い歴史の中で幾多の試練を乗り越え、現在も人々の信仰を集め続けています。

摂末社：神々の宿る場所

地御前神社には、客人宮や末社胡子神社など、いくつかの摂末社が祀られています。客人宮は、旅人や来訪者を守護する神として信仰を集めてきました。末社胡子神社も、地域の人々から篤い信仰を受けています。これらの摂末社は、地御前神社全体の信仰体系を支える重要な役割を担っています。

祭事：伝統が息づく神事

地御前神社では、古くから伝わる神事が大切に守られています。旧暦5月5日に行われる御陵衣祭では、流鏑馬と舞楽が奉納されます。神馬が疾走し、矢を射る流鏑馬、優雅な舞楽の調べは、神聖な雰囲気をさらに高めます。また、旧暦6月17日には、厳島神社から神使を乗せた船を迎える管絃祭が行われます。厳島神社との深い結びつきを示す、重要な祭事です。これらの祭事は、地域の人々の信仰の深さと、伝統の継承を物語っています。

アクセスと周辺情報

地御前神社は、広島県廿日市市地御前5丁目17に位置します。山陽自動車道（広島岩国道路）廿日市ICから車で約10分、広島電鉄宮島線地御前駅から徒歩約10分、廿日市さくらバス「地御前神社前」バス停からは徒歩約1分と、比較的アクセスしやすい場所にあります。周辺には地御前漁港があり、豊かな自然と海の幸にも恵まれた環境です。

厳島神社との深い繋がり

地御前神社は、厳島神社と強い結びつきを持ち、厳島神社の外宮としての役割を果たしてきたとされています。両社の歴史は深く、祭祀や信仰においても密接な関係を保ってきました。厳島神社への参拝と合わせて、地御前神社を訪れることで、より深く厳島信仰の歴史と文化に触れることができます。

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