地方・小出版流通センター

地方・小出版流通センターは、地方の出版社や小規模出版社が刊行する書籍や雑誌の取次業務を専門とする企業です。地方出版物の都市部への流通、都市部出版物の地方への流通を促進し、多様な出版物が読者の手に届くよう努めています。

概要

地方の出版社が手がける、各地域の特色を色濃く反映した書籍や雑誌は、大手取次会社の流通ルートに乗ることが難しい状況にありました。地方・小出版流通センターは、これらの出版物を出版社から買い取り、大手取次会社の流通網を活用することで、全国への流通を実現しました。また、都市部の小規模出版社の出版物を地方へ流通させる役割も担い、出版物の多様性を確保する上で重要な役割を果たしています。

2022年3月末時点で1140社と取引しており、地方・小規模出版流通の中核的な存在として、業界内で重要な地位を占めています。

かつては、アンテナショップ「書肆アクセス」を運営していました。神田神保町に店を構え、一般読者への販売も行っていましたが、利用客の減少により2007年に閉店しています。

沿革

1970年代まで、大手取次会社は効率性の観点から地方出版社や小規模出版社の刊行物をほとんど取り扱っていませんでした。そのため、これらの出版社が全国規模で出版物を流通させることは非常に困難でした。しかし、都市部では書店や図書館で地方出版物の企画展示や即売会が増え、地方出版物へのニーズが高まっていました。

このような状況を背景に、1976年3月、模索舎の店員であった川上賢一氏らが中心となり、地方出版社の社長や書店主など有志40人からの出資を得て、資本金450万円で地方・小出版流通センターが設立されました。

設立当初から約180社、約5000点の書籍を取り扱い、地方出版物のブームにも乗り、1990年代半ばまでは業績を順調に伸ばしました。1976年には神田小川町にアンテナショップ「書肆アクセス」を開店、1981年には神田神保町に移転し、多くの人々が訪れる人気店となりました。しかし、1990年代後半以降は、バブル崩壊の影響、若者の活字離れ、インターネット販売の拡大などにより、出版業界全体が不況に陥り、同社の業績も伸び悩みました。書肆アクセスの売上も減少し、2007年に閉店を余儀なくされました。

書肆アクセスの閉店に伴い、本社も2007年11月に神田神保町から新宿区に移転しました。市場の縮小傾向は続いており、2019年6月にはさらなる規模縮小を検討していたとされています。現在、川上氏は毎週、無明舎出版に新刊ニュースを寄稿しており、これが事実上の広報媒体となっています。

主な刊行物

アクセス: 月刊の地方出版情報誌です。1976年の創刊以来、地方出版物の情報を発信し続けており、2023年7月時点で通巻558号を数えています。
あなたはこの本を知っていますか: かつて発行されていた図書目録です。2013年に30号をもって廃刊となりました。

主な取引出版社（者）

1000社程度の出版社と取引があります。地方の小規模出版社を中心に、多種多様な出版物を扱っています。

参考資料

公式ウェブサイト
アクセスWeb版
* 地方・小出版流通センター (@local_small) - X（旧Twitter） - X（旧Twitter）)

地方・小出版流通センターは、地方出版文化の維持と発展に貢献する重要な存在です。出版業界を取り巻く環境が大きく変化する中、その役割はますます重要になっていくと考えられます。

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