模索舎

模索舎：自主流通本を扱う特異な書店

模索舎は、東京都新宿区新宿二丁目にある、自主流通本を専門とする書店です。1970年、ベトナム反戦運動に関わった学生たちが、「表現の自由」を理念に創業しました。当時、評論家津村喬の著書『魂にふれる革命』が出版されたものの、取り扱う書店が少なかったことが、模索舎設立のきっかけの一つとなりました。

取り扱い書籍の特徴

模索舎は、一般的な出版取次会社が扱わない、いわゆるミニコミと呼ばれる自主流通本を主要に取り扱っています。「ミニコミ少流通出版取扱書店」という看板を掲げ、商業的な問題や主張内容に問題があるなど、一般書店ではなかなか取り扱ってもらえない書籍も原則として無審査で販売しています。そのため、新左翼や右翼団体、宗教団体の機関紙など、他では入手困難な出版物が多く、国会図書館にもないような書籍やCD、さらには死刑囚の支援通信まで、幅広いジャンルの出版物が狭い店内に所狭しと並んでいます。これらの出版物は、模索舎でしか入手できない場合が多く、貴重な情報源となっています。

模索舎のポリシーと事件

「持ち込まれた出版物はどんなものでも販売する」というポリシーを掲げているため、過去にはトラブルに巻き込まれたこともありました。1972年には、永井荷風作とされる小説『四畳半襖の下張』の複製版がわいせつ物として摘発される事件が起こり、当時の代表が逮捕、起訴されました。この事件は最高裁まで争われ、最終的に有罪判決となりましたが、この事件を通じて模索舎の名前は広く知られることとなりました。

経営状況と現状

近年、同業の書店が相次いで閉店する中、模索舎も経営状況は厳しくなっています。2010年には、創業40周年を迎えましたが、経営難から存続が危ぶまれる状況でした。現在も状況は大きく変わらず、代表は「売り上げは年々落ちている」と述べています。それでも模索舎は、「ここでしか売れない、買えない本がある」という信念のもと、経営努力を続けています。また、再建実行委員会が組織され、舎外からの有志も含めて模索舎の再建を支援しています。

イベントと情報発信

模索舎では、不定期で各種イベントも開催しています。また、書籍の取扱案内として長年発行してきた「模索舎月報」は休刊しましたが、Web版は現在も運営されており、最新の入荷情報などを知ることができます。

模索舎の歴史

1970年10月上旬に経営主体である有限会社コミニケート社を設立。同月28日にスナック部門「スナックシコシコ」とともに「情報センターへの模索舎」として営業を開始しました。1972年には店舗改装を経て「情報センターへのシコシコ模索舎」としてリニューアルオープンし、全国的に知名度を上げていきました。

年表

1970年10月上旬 - 有限会社コミニケート社設立
1970年10月28日 - 「情報センターへの模索舎」として営業開始
1972年4月29日 - 「スナックシコシコ」閉店
1972年5月22日 - 「情報センターへのシコシコ模索舎」リニューアルオープン
1972年7月28日 - 取り扱い書籍が警察に押収される
1973年3月23日 - 「模索舎・四畳半裁判」東京地裁第一回公判
1976年12月23日 - 東京地裁で関係者に有罪判決
2010年3月22日 - 40周年記念イベント開催
2010年9月7日 - 「模索舎月報」休刊

関連情報

模索舎は、タコシェなど、他の自主流通本を扱う書店とともに、独自の文化を形成しています。また、遠藤忠夫が運営していたウニタ書舗も、模索舎と同様に、一般書店では見られない書籍を扱う書店でした。

外部リンク

模索舎
* 模索舎 (@mosakusha) - X（旧Twitter）

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