地球環境変動観測ミッション

地球環境変動観測ミッション（GCOM）

地球環境変動観測ミッション、通称GCOMは、[宇宙航空研究開発機構]]（JAXA）が遂行するプロジェクトであり、人工衛星を使って地球環境の変動を長期にわたって観測することを目的としています。このミッションは、国際的な地球観測計画である全球地球観測システム]の10年計画に基づいており、10〜15年間にわたり、地球全体の[[降水量や水蒸気量、雲、エアロゾル、植生などの物理データを収集します。これらのデータは、気候変動予測や気象予測、水資源や食料資源の管理に利用され、その有効性を実証することが目的です。

ミッションの背景

GCOMは、日本の国の政策、国際的な地球観測計画、そしてJAXAの衛星開発方針が相互に影響し合いながら誕生したものです。2003年の宇宙開発計画では、JAXAの役割の一環として地球観測計画が位置づけられ、2004年には宇宙開発利用の基本戦略が策定されました。また、2005年には第3回地球観測サミットが開催され、GEOSSの10年計画が承認されています。これらの流れを受けて、JAXAは地球観測に寄与する衛星の具体的な開発計画を立案しました。

GCOMの概要

GCOMは、陸地と海洋の環境変動を観測するために、2種類の衛星シリーズを5年ごとに打ち上げ、最終的に6機の衛星を運用する大規模なプロジェクトです。GCOMは、水循環変動観測衛星（GCOM-W）シリーズと気候変動観測衛星（GCOM-C）シリーズに分類されます。GCOM-W系列には高性能マイクロ波放射計AMSR2、GCOM-C系列には多波長光学イメージャSGLIが搭載されています。これにより、大気、海洋、陸地、雪氷の各種データを総合的に観測します。

衛星システムの詳細

GCOMの衛星は、3つの期に分けて打ち上げられ、各期で5年間の観測を行います。これらは互いに重複して観測を行い、万一のトラブルにも備えた設計がなされています。例えば、衛星バスの設計においては、双重化などの冗長設計が施されています。GCOM-W1（しずく）は、降水量や水蒸気量を観測し、GCOM-C1（しきさい）は、気温上昇の予測に寄与する観測を行います。

地上システムとデータ処理

GCOMの観測データは、専用の解析研究系システムで処理され、観測データの正確性や信頼性の向上が図られています。GCOM-W1およびC1では地上システムが融合されており、追跡管制業務やミッション運用系も一元管理されています。これにより、運用効率が向上し、データ解析も迅速に行えるよう設計されています。

観測機器の特徴

AMSR2は、改良されたマイクロ波放射計であり、特に降水量や海氷の観測に対する精度が高く評価されています。SGLIは、地球表面の温度や色を観測し、長期的には気候変動の分析に貢献します。これらの観測手段から得られたデータは、科学者や専門機関に広く提供され、地球環境の変動や気候変動に関する研究に無くてはならない重要な役割を果たします。

GCOMの観測活動を通じて、国際的な協力と科学技術の発展が進み、持続可能な未来に向けた礎となることが期待されます。

もう一度検索