地球防衛軍 (映画)

概要

『地球防衛軍』（ちきゅうぼうえいぐん、英題：The Mysterians）は、1957年に公開された東宝制作の特撮SF映画です。この作品は、色彩豊かな東宝スコープによる初めての試みで、監督は本多猪四郎、特技監督は円谷英二、主演には佐原健二が名を連ねています。同時上映には『サザエさんの青春』がありました。

本作の公開当時は、スプートニク1号の打ち上げに代表される宇宙開発競争が進行中であり、国内外で多くの宇宙に関連した映画が制作されていましたが、特に本作はスケールの多きさから「空想科学映画の決定版」という評価を受けました。また、巨大ロボットが登場する日本初の作品でもあり、特撮技術の革新が様々な形で表現されています。具体的には、本格的な宇宙空間や空飛ぶ円盤、光線兵器などが登場し、戦車のミニチュアにはラジコンが初めて使用されました。

物語は、富士山麓の村で発生した奇怪な山火事から始まります。地元の天体物理学者、白石亮一が失踪し、その友人である渥美譲治が調査を始める中、放射能を伴う山崩れが発生し、巨大なロボット・モゲラが現れます。モゲラは防衛隊の攻撃をものともせず、村を次々と破壊していきます。防衛隊は、鉄橋を爆破することでようやくモゲラの進行を食い止めますが、ここに強大な異星文明の影が迫っていることが明らかになります。

ミステリアンは自らの母星を核戦争で失った過去を持ち、地球に異星文明の名のもとに土地割譲と地球人女性との結婚を要求してきます。この異星人は、冷涼な環境でないと生きられない特殊な存在で、次第に人道的な側面が見え隠れする中、彼らは自らの存続のために地球に対する攻撃を視野に入れるようになります。一方、地球の防衛軍はこれに対抗すべく新兵器の開発を進め、ついに決戦の時を迎えます。

ストーリー

物語はのどかな村祭りの夜、異常な山火事が発生し、それに続いて白石亮一がいなくなったところから始まります。友人の渥美譲治は白石の論文を持って安達賢治郎博士に相談し、異星文明によるものではないかと推察する場面があります。報告を受けた防衛隊がその存在に直面し、巨大ロボットモゲラとの戦闘が繰り広げられる一方で、ミステリアンたちの人的要求もエスカレートしていきます。

彼らの要求は、土地の譲渡や人間女性との結婚などで、地球側に対し過激な要求を突きつけます。防衛隊は初めは従うことを考えますが、次第にミステリアンの本当の目的が見えてきます。戦隊は新たな兵器の開発を進め、緊迫した各国の防衛軍と異星人との戦いが加速する中で、人類の団結が試されます。ついには渥美が白石の助けを求め、彼がミステリアンの側に寝返るという衝撃的な展開も待ち受けます。

峰を越えた戦略と技術を駆使した最終決戦が描かれ、地球人と異星人の複雑な人間関係、戦争の悲劇、そして先に進むべき道を問う結末へと進展していきます。映画は、科学と人間性の行く末を考えさせる深いメッセージを持っており、その影響は後年の特撮映画にも強く残っています。

登場キャラクター

• - ミステリアン: 異星人で、地球侵略を試みる。
• - 渥美譲治: 物語の主人公で、白石の友人。
• - 白石亮一: 異星文明に関わった天体物理学者。

本作の魅力は、熱い戦闘シーンとともに、冷戦期における地球への視点をあらわにしている点にあります。また、伊福部昭によるマーチ調の音楽が、作品に力強さを与えており、視聴者の心を揺り動かします。作品は公開から数十年を経た今も多くのファンに愛され続け、その影響力は計り知れません。

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