地縁

地縁とは

地縁とは、人々が生活する土地に根ざしたつながりを指します。具体的には、近隣住民同士の結びつきや、過去に居住していた土地との関係など、場所を介して形成される人間関係全般を意味します。この地縁は、地域社会における相互扶助の精神や、共同体意識を育む上で重要な役割を果たしています。

地縁の具体例

地縁の具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

地域共同体： 特定の地域に住む人々が共同で生活する中で形成される共同体です。
町内会： 地域の住民が組織する自治組織であり、地域社会の維持や活性化に貢献しています。
向う三軒両隣： ご近所同士の親密な関係を指し、生活上の助け合いを通じて絆を深めます。

これらの地縁は、日々の生活における助け合いや協力関係を築き、地域住民の連帯感を醸成する基盤となっています。

地縁と地域コミュニティ

地縁によって形成されたコミュニティは、「地域コミュニティ」と呼ばれます。地域コミュニティは、住民同士が互いに協力し、支え合うことで、より良い地域社会を築くことを目指します。また、地縁に基づいた組織は、「地縁団体」と呼ばれることがあります。地縁団体は、地域社会の課題解決や、住民の交流促進において重要な役割を果たします。

日本では、町内会や自治会などが地域コミュニティ・地縁団体として機能しています。これらの団体は、地域住民の意見をまとめ、行政との連携を図りながら、地域社会の発展に貢献しています。

法人格を持つ地縁団体

従来の日本の法制度では、町内会などの地縁団体に法人格が認められておらず、様々な不都合がありました。そのため、1991年の法改正により、「認可地縁団体」という枠組みが設けられ、法人格を取得できるようになりました。これにより、地縁団体は、不動産登記や契約などの法的行為を、団体名義で行えるようになりました。

地縁技術

地縁を活用した概念として、「地縁技術」があります。地縁技術とは、地域社会内で物資を調達・製作し、地域内で流通・販売する技術を指します。地元の資源や技術を最大限に活用し、地域経済の活性化や、持続可能な社会の実現を目指します。

地縁技術の例として、タイ東北部（イーサーン）で生産・利用される竹籠「カティップ」が挙げられます。カティップは、地元で採れる竹を材料に、地元住民の手によって作られ、主食であるもち米を盛る食器として使用されています。このように、地縁技術は、地域の文化や生活に根ざした形で発展しています。

まとめ

地縁は、地域社会における人間関係の基盤であり、相互扶助や連帯感を育む上で重要な役割を果たします。地域コミュニティや地縁団体は、地域社会の発展や、住民の生活を豊かにするために不可欠な存在です。地縁技術は、地域の資源や技術を有効活用し、地域経済の活性化や、持続可能な社会の実現に貢献します。地縁を大切にし、地域社会のつながりを深めていくことが、より良い社会を築く上で重要です。



関連用語

血縁
コミュニティ
地域コミュニティ
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
惣村
結
氏神
* 地方自治法

もう一度検索