地蔵院 (京都市北区)

地蔵院の紹介

地蔵院（じぞういん）は、京都市北区大将軍川端町に位置する浄土宗の寺院で、山号は昆陽山です。本尊には五却思惟阿弥陀如来が安置されており、特に「散り椿」で知られ、椿寺（つばきでら）としても親しまれています。また、境内にある観音堂は洛陽三十三所観音霊場の第30番札所でもあります。

歴史について

地蔵院の創建は神亀3年（726年）に遡ります。この年月、行基によって聖武天皇の勅願を受け、摂津国の昆陽池のそばに設立されたとされています。その後、平安時代に衣笠山の南に位置を移しましたが、室町時代の1391年には明徳の乱により焼失しました。この時、足利義満が金閣寺の建材を利用して再建し、地蔵菩薩が安置されました。

1589年、豊臣秀吉の命により現地点に移転しました。地蔵院は元々八宗兼学の寺院でしたが、寛文11年（1671年）に善曳和尚の手により浄土宗の寺院になり、知恩院の末寺として親しまれています。この時、本尊の五却思惟阿弥陀如来が善導大師作で、重源上人によってもたらされたとされています。元の本尊である地蔵菩薩は、後に地蔵堂に移されました。

境内の見所

地蔵院の境内には様々な建物や景観があり、訪れる人々を楽しませます。

• - 本堂: 本尊の五却思惟阿弥陀如来がこちらに安置されています。
• - 散り椿: かつては書院の前庭に存在した有名な椿で、現在は樹齢約120年の二世椿が咲き誇ります。この木は濃淡の異なる色合いの花をつけ、散り際も美しいとされ、豊臣秀吉も愛した名木です。現在は京都市の天然記念物に指定されています。
• - 観音堂: 本尊の十一面観音立像があり、これは慈覚大師の作とされ、脇仏には雨宝童子や春日龍神が祀られています。観音堂は洛陽三十三所観音霊場の第30番札所です。
• - 地蔵堂: 鍬形地蔵が安置されています。この堂の裏側にある扉は、明治時代に廃仏毀釈の影響で破壊された北野天満宮の多宝塔の扉から移設されたものです。
• - 夜半亭巴人の墓: 与謝蕪村の師である夜半亭巴人の墓も境内にあります。
• - 山門と庫裏: 境内の入口を飾る山門や、僧侶が住むための庫裏も重要な構成要素です。

散り椿の由来

地蔵院の「散り椿」は、その名前の由来でもある著名な木です。文禄の役の際に加藤清正が持ち帰り、豊臣秀吉から献木されたとの説がありますが、京都市歴史資料館によると古い記録にはこの椿の由来に関する記述が見当たらないため、この話は20世紀以降の刊行物に基づくものであるようです。文禄の役と北野大茶湯の時期に矛盾があることにも留意が必要です。

まとめ

地蔵院は、その悠久の歴史や美しい景観、そして文化的な価値が詰まった場所です。特に散り椿や観音堂は魅力的で、訪れる人々に感動を与えています。京都を訪れた際には是非立ち寄って、その静けさや美しさを味わってみてはいかがでしょうか。

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