重源

重源（ちょうげん）について

重源（1121年-1206年）は、日本の中世初期に生きた僧侶であり、特に東大寺の復興に尽力したことで名を馳せました。彼の実名は俊乗房であり、浄土宗の教えを広めたことでも知られています。東大寺大勧進職を務め、源平の乱によって焼失した東大寺を再建した功績は多大なものでした。

出自と経歴

重源は真言宗の拠点、醍醐寺にて出家し、河野流派の法然から浄土教に触れました。その後、彼は大峯や熊野など日本各地で厳しい修行を重ね、さらには中国南宋にも三度赴きます。重源は、入宋僧としての経歴を持ち、特に五台山を目指していたものの、金の支配下で果たすことができなかったため、天台山国清寺や阿育王寺を訪れ、その後の日本における舎利信仰を育てていくことになります。

東大寺の復興

養和元年、重源は後白河法皇に東大寺再建を提案し、それに賛同を得て再建に取り組むことになります。61歳の時でした。復興には財源と技術の両面で多くの困難がありましたが、重源は周防国の税収を用いることを許可され、様々な技術者や職人を集めて働きかけました。

特に、木材の調達において重源は博多周辺の資源に注目しました。また、当時の日本には高い技術を持つ中国の建築技師も関与しており、重源は彼らから学びながら、日本の大仏殿を再建しました。彼の組織によって、多くの技術者や士族が結集し、建設が進みました。

大仏殿の再建

重源の努力が実を結び、1185年には大仏の開眼供養が行われ、1195年には大仏殿自体が完成しました。その後の再建過程においても多くの困難がありましたが、重源は自身の信仰と多くの人々の支持を受けながら、東大寺の復興に尽力しました。この功績により、彼は「大和尚」の称号を授与され、毎年春に行われる修二会では、その名が長く読み上げられ、彼の貢献が示されています。

大原問答

文治2年、重源は法然や顕真らと共に、大原勝林院で念仏の意義について問答を繰り広げました。この「大原問答」は、念仏による極楽浄土への往生の教えが広まる契機となり、多くの人々が念仏を唱えるようになりました。重源自身もその後、法然に師事しながら、南無阿弥陀仏を自身の呼び方に用いるようになったとされています。

著作と影響

重源は1203年頃に『南無阿弥陀仏作善集』を記し、東大寺や別所での建築技術や活動記録をまとめました。これにより彼の影響がこの先の世代に引き継がれることになり、後の浄土宗の発展にも寄与しました。

大仏様の様式

重源が関与した大仏殿の建築様式は特異であり、現在では大仏様と呼ばれています。この様式は、中国南宋の建築に影響を受けつつも、日本独自の発展を遂げたもので、貫と呼ばれる水平材を使用した強固な構造を特徴としています。

遺構とその後

重源の時代の建築物として、南大門や法華堂などが東大寺に現存しており、浄土寺浄土堂も国宝に指定されています。また、彼の死後は、僧侶の栄西がその後を継ぎました。

重源の功績は広く認識されるようになり、東大寺の修二会の際などにその名が読み上げられることで、その偉業が後世に伝えられています。

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