海洋情報部

海洋情報部について

海洋情報部（Hydrographic and Oceanographic Department）は、海上保安庁の内部部局の一つであり、航海の安全を支援するための重要な役割を担っています。この組織は、海図や電子海図、水路誌などの刊行物を通じて、船舶の安全航行に必要な情報を提供しています。また、海底火山や漂流物に関する速報、領海調査、海流・潮流の観測、航海に必要な天文情報の収集・提供も行っています。

主な業務内容

海洋情報部の業務は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のものが挙げられます。

測量・観測業務

水路測量: 海図の基本となる海洋測量、港湾測量の実施。水路図誌の最新版を提供。
地磁気測量: 磁針の方向変化を観測し、地磁気図を作成。
海上重力測量: 海上における重力異常を調査。
海洋観測: 海流などの状況を把握するための調査研究と観測。
天文観測: 各国天文台と協力し、星食観測を担当。世界の中央局業務も行う。
潮汐観測: 潮汐表の精度向上、潮汐調和定数の算出、防災情報への利用。
潮流観測: 海峡、水道、港湾などで潮流予報を実施、潮流図を刊行。
海洋汚染調査: 海洋汚染と環境保全のための調査。

情報提供業務

海図の編集・刊行: 安全な航海に必要な海図を作成。
潮汐表の編集・刊行: 各種潮汐情報をまとめた書籍を作成。
水路書誌の編集・刊行: 海洋観測、天文観測、港湾調査の成果を利用した書籍を作成。
水路通報の発行: 水路図誌の最新情報、航路標識の変更、工事や作業情報などを提供。
日本海洋データセンター: 日本唯一の総合的海洋情報データバンクの運営。
海の相談室: 海事専門家、レジャー関係者、一般人からの質問に対応。

研究業務

漂流予測モデル高度化の研究: 海面水温データ、海面高度データの解析、海況把握の研究。
海底把握に関わる研究: 音響測深機などを利用し、海底地形を把握する研究。
測地・測量に関わる研究開発: GPSやレーザー測距など測位技術の研究開発。

組織

海洋情報部は、以下の6つの課で構成されています。

企画課: 総合調整、計画・監査、重要事項の企画・立案。
技術・国際課: 技術企画、調査研究、水路測量許可、国際協力。
海洋調査課: 水路測量に関する事務。
環境調査課: 海象観測、海洋汚染防止のための科学的調査。
海洋情報課: 海洋情報の収集・整理・保管・提供、国際情報交換。
航海情報課: 水路図誌、航空図誌の調製・供給、水路通報・航行警報。

年表

海洋情報部の歴史は、旧日本海軍の水路部を母体としています。

所在地

東京都千代田区霞が関三丁目1番1号 中央合同庁舎第4号館

その他の情報

海洋情報部では、国際水路機関の国際基準に沿って航海用電子海図をCD-ROMで発行しています。また、海洋情報資料館では、各種資料の閲覧や旧版海図の複写も可能です。海の安全を守るため、幅広い活動を展開しています。

参考文献

歴史群像編集部 編 『海上保安庁パーフェクトガイド』 学習研究社〈Gakken rekishi gunzo series〉2005年6月、ISBN 4-05-603720-5。

関連項目

海上保安庁の装備品一覧
海上保安庁船艇一覧
海上保安庁の保安部、保安署等一覧
日本水路協会
地震予知連絡会

外部リンク

海上保安庁海洋情報部
海洋情報資料館
海上保安庁法
* 海上保安庁組織規則

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