坂本乙女

坂本乙女：龍馬を支えた剛胆な姉

坂本乙女（さかもと おとめ）は、天保3年1月1日（1832年2月2日）に土佐藩郷士の家に生まれ、明治12年（1879年）8月31日に47歳で没しました。彼女は、あの坂本龍馬の姉として知られています。

経歴

乙女は幼少の頃から、薙刀をはじめとする武芸や、琴、三味線といった文芸にも才能を発揮しました。身長約175cm、体重約112kgという堂々たる体格で、男勝りな性格だったと伝えられています。弟の龍馬にとっては、母親代わりのような存在であり、彼に学問や剣術を教え、幼い頃の夜尿症を治したという逸話も残っています。

乙女は龍馬に対して厳しくも愛情深く接しました。足相撲ではいつも龍馬を負かし、泣いて悔しがる龍馬に「それでも男か！」と叱咤したそうです。その一方で、龍馬の良き理解者として、彼の悩みを聞き、励ましました。龍馬が頻繁に送る手紙の多くは乙女宛であり、そこには日々の出来事や恋の相談などが綴られていました。

安政3年（1856年）には岡上樹庵と結婚し、一男一女をもうけますが、慶応3年（1867年）に離婚。その後は実家に戻り、晩年は養子の坂本直寛と共に暮らしました。明治12年（1879年）に壊血病で亡くなりました。

龍馬の妻であるお龍とは、必ずしも良好な関係ではなかったとされますが、近年では乙女がお龍に親身に接していたという史料も発見されています。

人物像

乙女は、『三国志』や『南総里見八犬伝』などの物語を愛読し、その内容を龍馬に語って聞かせたと言われています。彼女の記憶力は非常に高く、一度読んだ内容をほぼ暗記していたそうです。乙女から英雄豪傑の話を聞かされたことが、龍馬の思想形成に影響を与えたのかもしれません。

登場作品

乙女は、多くの小説、漫画、テレビドラマ、舞台作品に登場しています。

小説：司馬遼太郎『竜馬がゆく』、葉室麟『乙女がゆく』
漫画：武田鉄矢・小山ゆう『お〜い!竜馬』、そにしけんじ『ねこねこ日本史』、司馬遼太郎・鈴ノ木ユウ『竜馬がゆく』
テレビドラマ：『竜馬がゆく』(1968年、NHK大河ドラマ)、『坂本龍馬』(1989年)、『竜馬がゆく』(2004年、テレビ東京)、『龍馬伝』(2010年、NHK大河ドラマ)、『土方のスマホ 正月の陣』(2022年、NHK)
舞台：『弟よ -姉、乙女から坂本龍馬への伝言』
* アニメ：『お〜い!竜馬』、『ねこねこ日本史』

これらの作品を通して、坂本乙女という女性の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索