坂本寧

坂本寧：医学と芸術の両分野で活躍した生涯

坂本寧氏は、1930年、熊本県菊池郡大津町に生まれました。医師として、そして画家として、多岐にわたる才能を発揮した、実に多彩な人生を送りました。

青年期より絵画に強い関心を抱き、1946年から本格的に創作活動を開始します。医学の道も歩み、熊本大学大学院医学研究科を修了。熊本県宇城市で開業医として地域医療に貢献する傍ら、画家としての活動を続けました。

坂本氏の芸術における最大の師は、著名な画家である坂本善三氏です。10代の頃から親交を結び、坂本善三氏の没後まで師事しました。両氏の姓は同じですが、血縁関係はありません。師事期間は長く、坂本善三氏から多大な影響を受けたと考えられます。

坂本善三美術館の設立にも深く関わっており、1995年には館長に就任。抽象画、風景画、版画など、幅広い画風で作品を制作し、熊本、東京、パリなど国内外で精力的に個展を開催しました。その作品は、日本国内よりも海外で高い評価を得ているとされています。

医師としての活動では、1960年に熊本大学で医学博士号を取得。「白血病及び白血病の骨髄に関する研究」というタイトルの論文で学位を取得しています。医学と芸術、一見すると異なる分野において、高い専門性を持ち、多大な功績を残しました。

主な著作には、『善三先生と私』、『清六さんと私』などがあります。これらの著作を通して、坂本氏の人間性や芸術観、そして師である坂本善三氏との交流などが垣間見れる貴重な資料となっています。

坂本寧氏の芸術活動は、熊本県立美術館分館での個展（1993年）、ルーブル美術館で開催されたアール・パリ展への出品（2005年）、つなぎ美術館での企画展（2006年）、不知火美術館での個展（2010年）など、数多くの展覧会を通して広く知られるようになりました。

2023年12月2日、誤えん性肺炎のため93歳で永眠。医学と芸術の両面で活躍した坂本寧氏の功績は、後世に長く語り継がれることでしょう。その多才さと、医学と芸術への情熱は、多くの人々に感動とインスピレーションを与え続け、人々の記憶に深く刻み込まれています。

坂本氏の生涯は、異なる分野における卓越した才能と、芸術への飽くなき探究心、そして師との深い絆を示す、輝かしい軌跡でした。彼の作品や、その人生は、これからも人々の心に響き続けることでしょう。

もう一度検索