坂本朝一

坂本 朝一について

坂本 朝一（さかもと ともかず）は、1917年3月28日東京都に生まれ、2003年12月31日に86歳で亡くなった、日本の著名な放送人です。彼は第12代日本放送協会（NHK）の会長を務め、「朝の連続テレビ小説」の生みの親として高く評価されています。

生い立ち

坂本は、神田明神境内にある割烹料理屋「開花楼」の主人、2代目坂本彦平の子供として誕生しました。彼の父は「坂本猿冠者」とも呼ばれ、伝統的な日本の文化を重んじる家庭で育ちました。教育は、旧制明治中学校を経て早稲田大学文学部の英文学専攻に進学し、ここで専門的な知識を深めました。

NHKでのキャリア

1939年にNHKに入局した坂本は、ラジオドラマや演芸番組など多様な分野で活動を開始しました。1940年4月には、日本初のテレビドラマ『夕餉前』を演出し、テレビ放送の発展に寄与しました。戦後は『二十の扉』や『私は誰でしょう』などの番組を手掛け、視聴者の注目を集めました。

テレビの本放送が開始されると、坂本は『バス通り裏』や『事件記者』といった連続テレビドラマにおいて新たな演出手法を確立しました。これにより「朝の連続テレビ小説」の企画を持ちかけ、画期的な作品が次々と生まれることになりました。第1作『娘と私』及び第6作『おはなはん』の制作にも関わりました。

その後、坂本はNHKの専務理事、芸能局長、放送総局長、副会長など様々なポジションを経て、1976年にNHK会長に就任しました。彼は内部職員として初めての会長であり、1982年までの6年間その職にありました。

公職と受賞歴

坂本は会長職を退いた後も公共の場で活躍し、1985年には国家公安委員会委員、1987年には国語審議会会長、1997年には横綱審議委員会委員長を務めました。また、1990年には勲一等瑞宝章を受章しました。

死去

2003年12月31日、坂本は肝機能不全により亡くなりました。彼の死去の際には、多くの人々が彼を悼み、特に森繁久彌が主催した「お別れの会」では、深い感動が生まれました。

開花楼と文化の影響

坂本家の家業でもある料亭「開花楼」は、神田明神境内の崖の上に位置し、特に結婚披露宴の会場として名高いものでした。初代と2代目の坂本彦平はともに「坂本猿冠者」と呼ばれ、舞台芸術にも関心を寄せていました。開花楼は文学座の稽古場や絵画展の会場としても利用され、芸術家や文人たちの集う場所となりました。

また、開花楼は「へなちょこ」という言葉の起源ともされ、坂本の祖父が作った陶器から生まれたとの言い伝えがあります。彼は自らの家族や文化に対する敬意を大切にしつつ、その影響を多方面に及ぼしました。

著書

坂本朝一は多くの著作を残しており、特に『放送よもやま話』や『放送つれづれ草』などが知られています。これらの著作は、彼の豊富な経験と知識を基にした貴重な資料として、高い評価を受けています。

坂本朝一の生涯は、日本の放送文化を形成し、多くの人々に影響を与えた歴史的な道筋と言えるでしょう。

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