坂東彦三郎 (3代目)

三代目 坂東彦三郎

三代目 坂東彦三郎（さんだいめ ばんどう ひこさぶろう、1754年 - 1828年）は、江戸時代中期の著名な歌舞伎役者である。彼は初めは萬屋という屋号で活動し、その後音羽屋に改めた。俳名には橘子、薪水、楽善があり、通称として坂彦や向島の親分として知られていた。享年75であり、彼の戒名は願生院極誉楽善法子だ。

坂東彦三郎は、八代目市村羽左衛門の三男であり、兄には九代目市村羽左衛門がいる。また、初代尾上菊五郎の弟子としても知られている。彼が初めて舞台に出たのは、宝暦8年（1758年）11月のことで、市村座で若太夫として活躍。その翌年の3月には、同じく市村座で子役として市村吉五郎を名乗り、舞台に立った。

1770年11月、彼は三代目坂東彦三郎を襲名し、以後は若衆方として活躍を続けた。8年が経過した後、彼は元服し立役へと転身。江戸、京都、大坂の三都で高い人気を誇り、特に『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助や『菅原伝授手習鑑』の菅丞相という役が好評を博した。文化8年（1811年）7月、江戸の舞台を最後に退く際、中村座でこれらの役を演じ、非常に印象的なクライマックスを迎えた。

文化10年（1813年）には、大坂で『菅原伝授手習鑑』の菅丞相と武部源蔵、さらには京都で『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助を演じ、完全に舞台から引退した。その後、京都の黒谷にて剃髪を行い、江戸に帰る。以降は半草庵楽善と名乗り、本所原庭にて静かな余生を送ることとなる。

晩年の坂東彦三郎は、風流を重んじ、書画、俳諧、茶道などの趣味を楽しみながら生活していた。彼の踊りや演技は、時代物から世話物まで幅広く、特に所作、和事、武道においても優れた才能を発揮し、多くの観客を魅了した。その影響力は、後の世代の歌舞伎役者にも及び、日本の伝統芸能における重要な存在として認識されている。

関連項目

• - 坂東彦三郎（名跡）
• - 市村羽左衛門（名跡）

なんといってもその演技力と表現力は特筆すべきものであり、彼の名は当時の歌舞伎界に深く刻まれている。

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