坊津町久志

坊津町久志（ぼうのつちょうくし）について

坊津町久志は、鹿児島県南さつま市に位置する大字です。旧薩摩国に属し、歴史的には河辺郡の複数の村にわたる地域でした。特に輸送・交易において重要な役割を果たし、天然の良港として「久志の港」が栄えました。中世には琉球や唐との往来があり、時代を通じて商業活動が盛んでした。現在、久志の郵便番号は898-0211で、2020年時点の人口は337人、201世帯となっています。

地理

久志は薩摩半島の南東部に位置し、南さつま市の坊津地域の北部にあたります。中央には久志川が流れており、周囲は山々に囲まれています。北側には大浦町、東には加世田津貫と接し、西側は東シナ海に面しています。また、久志の集落は主に「今岳」と「久志」の2つにわかれています。

この地域の博多浦は特に中世以降、唐との交易港として栄えていました。かつては唐人町という集落が存在し、江戸時代の鎖国政策が施行されるまで唐人が居住していました。久志はかつての坊津町役場があった場所であり、行政の中心地として機能していました。現在でも、南さつま警察署や坊津久志郵便局などの官公庁が立地しています。

自然公園と保護地区

久志の一部は「坊野間県立自然公園」として指定されています。この公園は1953年に設立されマインライツにかかる自然エリアです。さらに南さつま市の条例に基づき、特定の地域が特別保護地区に指定され、多様な生態系が守られています。

歴史

古代の遺跡が多く残る久志では、縄文時代のものとされる遺物が見つかっています。明治時代以降は村や町に組織され、江戸時代には地名としての久志が確立されました。特に重要な目印となるのは、豊臣秀吉の命令で交易が行われていたことや、異国船の監視所が設けられていたことです。

また近代以降では、1945年にアメリカのB-29による空襲がもたらす影響がありました。その後、村名の変更など政治的な動きもあり、1955年には坊津町が設立され、2005年に南さつま市に合併されました。

文化財と産業

坊津町久志には、南さつま市指定の文化財があり、木像阿弥陀如来立像や唐人墓など歴史的な価値があります。産業に目を向けると、医療や福祉、漁業が大きな役割を果たしています。また、かつての繁栄を物語るように、久志には貿易商人が多く住んでいましたが、時を経て多面的な産業に変化しています。

交通と教育

地域の交通は国道226号線や県道が通っており、南さつま市にアクセスしやすい環境が整っています。教育面では、かつては久志小学校や久志中学校が存在しましたが、現在は公立学校がなくなり、玉川大学南さつまキャンパスが地域に貢献しています。著名な出身者である小原國芳によって設立された学校法人玉川学園とのつながりも深く、教育面での影響力を持っています。

まとめ

坊津町久志は、その豊かな自然環境と歴史的背景を持つ地域であり、多様な文化と産業が共存し、過去から未来へと受け継がれています。今後も地域の発展とともに、訪れる人々にその魅力を伝えていくことでしょう。

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