坑道掘削装置

坑道掘削装置とは

陸上自衛隊における坑道掘削装置（MRH-S100型ロードヘッダ）は、主に施設科に属する装備品です。この装置は、坑道中隊をはじめとする施設部隊によって運用され、トンネル型陣地の構築に大きく寄与しました。民生品として製造され、一般的にも広く利用されているタイプの掘削機です。

特徴と性能

この装置の最大の特徴の一つは、電気によって動力を供給される点です。外部からケーブルを介して電力が供給され、環境への影響を抑えながら効率的に作業が行えます。1991年度から運用が開始され、その後、数十年にわたって日本の防衛に貢献していました。特に掘削アームの先端に取り付けられたドリルを使用し、前進する際にアームを振り回して地面を掘削します。掘り進めた土砂は、後部に設けられたベルトコンベアにより迅速に排出される仕組みになっています。

装置の主なスペックは以下の通りです。

• - 全長：およそ14.9メートル
• - 全幅：約2.8メートル
• - 全高：3.5メートル（アーム上昇時）
• - 重量：全備で約30トン
• - 掘削用電動機出力：100/60キロワット

掘削性能に関しては、掘削断面は約29平方メートル、平均掘削能力は約30立方メートルに達することができます。掘削高は3から5メートル、掘削幅は3から6メートルに及びます。対象とする土質は普通土や軟岩に適しており、多様な地形での運用が可能です。

製作と配備状況

この掘削装置は、三井三池製作所によって製造されました。陸上自衛隊内での配備は、第303坑道中隊が2010年3月26日に行われ、他の多くの坑道中隊や坑道小隊も2024年3月20日をもって廃止される予定です。特に北部、東北、西部の各方面隊において、重要な役割を果たしてきました。

車両を配備している部隊には、第3施設団や第2施設団などがあり、具体的には、岩見沢駐屯地や上富良野駐屯地などに各坑道中隊が配置されていました。また、陸上自衛隊施設学校では、施設教導隊や施設器材中隊、坑道小隊といった関連部隊が存在します。

退役と今後

残念ながら、全ての坑道掘削装置は2024年3月をもって退役し、陸上自衛隊の歴史の一部として幕を閉じることになります。その運用期間において、陸上自衛隊の施設工事や戦略的防衛に対して欠かせない役割を担ってきたことは疑う余地もありません。今後は新たな技術や装備が求められる中で、その経験がどのように活かされていくのかが注目されます。

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