坪井洋文

坪井 洋文 (つぼい ひろふみ)

坪井洋文は、1929年7月28日に広島県で生まれ、1988年6月25日に亡くなった日本の著名な民俗学者です。彼は特に農耕文化の研究を通して、日本人の民俗的思考や文化の多様性について重要な洞察を提供しました。音読みでは「ようぶん」とも呼ばれています。

来歴

坪井は國學院大學を卒業し、その後同大学で助教授や教授として教鞭を執りました。特に1981年には国立歴史民俗博物館の教授に就任し、1984年には「稲を選んだ日本人 民俗的思考の世界」で國學院大學文学博士の学位を取得しました。彼の研究は、農耕文化の多様な側面を探求し、特に柳田國男が提唱した稲作単一文化論に異議を唱える形で展開されました。

坪井は、焼畑文化に着目し、その重要性を『イモと日本人』という著作で力強く主張しました。この著作は、農業の面から日本の文化を再考するきっかけとなり、多くの読者に影響を与えました。

著作

坪井洋文の著作は、その研究の広がりを反映した豊富な内容が特徴です。彼の代表作として以下のような著書があります。

• - 『イモと日本人 民俗文化論の課題』 (未来社, 1979年): 農業と文化の関係を考察し、焼畑文化の重要性を提言した作品。
• - 『稲を選んだ日本人 民俗的思考の世界』 (未来社, 1982年): 日本人の米に対する特有の関心とその文化的意義についての深い考察。
• - 『民俗再考 多元的世界への視点』 (日本エディタースクール出版部, 1986年): 日本の多様な民俗文化を再評価した業績。
• - 『神道的神と民俗的神』 (未来社, 1989年): 日本の宗教と民俗の関わりについて深堀りした論考。

さらに、坪井は数多くの共編著書にも関与しており、以下の作品が著名です。

• - 『八丈島』 (共著: 大間知篤三、金山正好, 角川文庫, 1966年): 八丈島の文化と民俗についての貴重な記録。
• - 『伊豆諸島 世代・祭祀・村落』 (共著: 蒲生正男、村武精一, 未来社, 1975年): 伊豆諸島の祭祀や社会構造に関する研究。
• - 『日本祭祀研究集成 第4巻 祭りの諸形態 2 中部・近畿篇』 (編集委員: 三隅治雄, 名著出版, 1977年): 中部と近畿地方の祭りに着目した研究集。
• - 『日本民俗文化大系 第8巻 村と村人 共同体の生活と儀礼』 (著者代表, 小学館, 1984年): 村社会とその儀礼に関する包括的な研究。

これらの業績を通して、坪井洋文は日本の民俗学における重要な位置を占め続け、彼の研究は今もなお多くの学者や研究者に影響を与えています。彼の考察は、農耕文化のみならず、日本文化全体を理解するための貴重な視座を提供しています。

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