垣根

垣根：多様な素材とデザインによる境界の創造

垣根は、敷地や庭などの空間を区画するために設けられる囲いです。古くから人々の生活に密着し、その土地の文化や歴史を反映した多様な形態が世界各地で見られます。素材やデザイン、そして機能性もさまざまで、単なる境界線を超えた、景観や空間演出の重要な要素となっています。

様々な素材とデザイン

垣根の素材は多岐に渡ります。日本では、竹を編んで作る竹垣が古くから親しまれてきました。建仁寺垣、大徳寺垣、御簾垣など、デザインも多様で、視線を遮断するものから、視界を確保しつつ空間を区切るものまで、目的に合わせて選択されます。また、生垣は、木や低木を植えて作る垣根で、自然な景観を演出します。金網垣は、金網を素材として用いた垣根で、洋風庭園などによく用いられます。バラを絡ませたバラ垣なども、美しい景観を作り出します。その他、コンクリート塀、板塀、土塀、煉瓦塀、石垣など、様々な素材とデザインの垣根が存在します。板塀だけでも、竪張り、横張り、目透し、敷目張り、大和張りなど、複数の種類があります。

欧州における垣根：ヘッジとヘッジレイイング

欧州、特に英語圏では、畑地や牧草地、放牧場の境界を示すための生垣を「hedge（ヘッジ）」または「hedgerow（ヘッジロウ）」と呼びます。サンザシの若木を用いた生垣が代表的で、一定の間隔で植えた若木を斜めに曲げて絡ませたり、ハシバミの枝を編み合わせて作られます。オーク、トネリコ、ニレ、コリヤナギ、ニワトコ、野リンゴ、野ナシなどの樹木を組み合わせることで、より堅固な垣根が作られます。これらの樹木は燃料源としてそのままにされることもありました。ヘッジの高さは、狩猟時に馬で飛び越えることができるように、人間の肩ぐらいに刈り込まれるのが一般的でした。また、サンザシの生垣は、生育のために土手下（hedge bottom）に沿って排水溝（drainage ditch）が掘られることが多く、土手の上に設けられることもありました。

ヘッジレイイング（Hedgelaying）は、生垣を作る技術です。伝統的な技法を用いて、生きた枝を巧みに編み込み、丈夫で長持ちする生垣を作ります。

「Dead hedge（デッドヘッジ）」は、毎年作り直す必要があるヘーゼル（ハシバミ）などの枝を編んで作る垣根です。

日本の伝統的な垣根：多様なデザインと機能

日本では、住宅の外周の垣根として、コンクリート塀や板塀の他に、土塀、煉瓦塀、石垣などが用いられています。また、外垣とは別に、庭園内に区画を設けるために内垣が設けられることもあります。竹垣、生垣、金網垣などが、内垣として用いられます。

竹垣は、視界を完全に遮断する建仁寺垣、大徳寺垣、沼津垣、相国寺垣、大津垣、桂垣、源氏垣、馬背垣、鶯垣など、様々な種類があります。一方、視界を遮らない光悦垣、偕楽園垣、金閣寺垣、四ツ目垣なども存在します。四ツ目垣は、竹を四ツ目の格子に組んだ垣根です。御簾垣は、すだれのように見える竹垣です。桂垣は、桂離宮の門の両側にある垣根を由来とします。大津垣は、竹の表面を大津、裏を京都になぞらえた垣根です。竹穂垣は、割竹を使い、組子に竹穂を組み合わせて作ります。他にも、萩垣、蓑垣、木賊垣、立合垣、鉄砲垣、あやめ垣、ひしぎ垣、光悦寺垣、金閣寺垣、銀閣寺垣、矢来垣、竜安寺垣など、多様な竹垣が存在します。

まとめ

垣根は、単なる境界線ではなく、空間を演出する重要な要素です。そのデザインは、それぞれの地域の文化や歴史、そして素材を反映した多様な表情を見せています。今後も、様々な素材やデザインを用いた垣根が登場し、私たちの生活空間を彩っていくことでしょう。

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