城英一郎

城 英一郎（じょう えいいちろう）

城 英一郎は、1899年（明治32年）に熊本県で生まれた大日本帝国海軍の軍人です。海軍兵学校を卒業後、航空隊で活躍し、最終階級は海軍少将に昇進しました。

生涯

熊本市で蚕糸業を営む家に生まれた城は、県立熊本中学校を経て海軍兵学校に入校。同期には、後に海軍で活躍する人物が多くいました。海軍兵学校卒業後は、海軍少尉候補生となり、巡洋艦での実習を経て、海軍砲術学校や海軍水雷学校で学びました。

航空隊での活動が長く、霞ヶ浦海軍航空隊では教官兼分隊長として、副長の山本五十六に操縦を教授したこともあります。また、中村千代子と結婚し、千代子の姉は、最初の神風特攻隊を編成した山本栄の夫人という縁戚関係にありました。

海軍大学校を卒業後、軍令部や海軍侍従武官などを経て、太平洋戦争開戦時には海軍大佐に昇進。戦局が悪化する中、山本五十六の国葬に参列し、その後、特攻隊の構想をまとめ、実現のために奔走しました。航空本部総務部長の大西瀧治郎に意見を求めましたが、「まだその時ではない」とされました。しかし、城の特攻に関する構想は、後に大西が神風特別攻撃隊を編成する上で影響を与えたと言われています。

1944年（昭和19年）には、航空母艦「千代田」の艦長に任命され、レイテ沖海戦に参戦。小沢治三郎中将率いる囮艦隊として、ハルゼー大将率いる艦隊の誘引に成功しましたが、「千代田」は敵空母艦上機及び敵巡洋艦隊の攻撃によって撃沈され、城を含む乗員全員が戦死しました。享年45歳。

戦後、海軍少将に特別進級し、1968年（昭和43年）には勲二等旭日重光章が追贈されました。墓所は横浜市瀬谷区の観正寺にあります。

特攻構想

城がまとめた特攻隊の構想は、「特殊航空隊ノ編成ニ就テ」という文書に残されています。この文書では、ソロモン・ニューギニア海域の敵艦船を飛行機の肉弾攻撃によって撃滅することを目的とし、攻撃機搭乗員は操縦者一人のみとし、決死の志願者を募集すること、攻撃機は250キロトン爆弾以上を携行し得る陸上（艦上）機とし、旧式機でも構わないことなどが記されています。また、特殊攻撃機の性能要件として、単座機で最高速度200ノット以上、航続距離800海里、兵装500キロ爆弾1個などが挙げられています。攻撃方法としては、偵察機により敵艦船を発見次第、爆撃機を発進攻撃し、爆弾携行の体当たりを行うことが想定されていました。

年譜

1899年（明治32年）4月1日 - 熊本県熊本市に生まれる。
1916年（大正5年）8月31日 - 海軍兵学校入校（47期）。
1919年（大正8年）10月9日 - 海軍兵学校卒業、海軍少尉候補生。
1920年（大正9年）8月1日 - 海軍少尉任官。
1923年（大正12年）12月1日 - 海軍大尉昇進。
1925年（大正14年）1月7日 - 霞ヶ浦海軍航空隊教官兼分隊長。
1930年（昭和5年）12月1日 - 海軍大学校甲種第30期学生。
1931年（昭和6年）12月1日 - 海軍少佐昇進。
1932年（昭和7年）11月26日 - 海軍大学校甲種卒業。
1941年（昭和16年）10月15日 - 海軍大佐昇進。
1944年（昭和19年）2月15日 - 航空母艦「千代田」艦長。
1944年（昭和19年）10月25日 - レイテ沖海戦で戦死、海軍少将に特別進級。
* 1968年（昭和43年）6月29日 - 勲二等旭日重光章受章。

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