執政

執政とは、国家または領土において政務を執り行うこと、またはその職掌や職名のことです。また、その権能を指して執政権と呼ぶこともあります。

日本においては、正式な職名として用いられることは稀であり、国政の実権を司る第一人者を指す言葉として比較的柔軟に使われてきました。例えば、左大臣、関白、太政大臣、征夷大将軍、執権、内管領、管領、筆頭老中、大老、側用人、そして首相などが、時代や状況によって執政と呼ばれることがありました。

「執政家」という言葉もあり、これは執政を行う家系、特に臣下でありながら国家の政務を行う家を指します。摂政関白などがその例です。

海外に目を向けると、フランス革命後の執政政府における官職名であるコンスルの訳語の一つとして「執政」が用いられました。ブリュメールのクーデターによって総裁政府を倒したナポレオン・ボナパルトが、第一執政に就任したことはよく知られています。

また、江戸時代の大名の家老の異称としても「執政」が用いられることがありました。主に城代家老、国家老、次席家老など、上席ではない家老のうち、参政よりも上位にある者が執政と呼ばれました。

さらに、サンマリノ共和国の国家元首であるCapitani Reggentiの訳語としても「執政」が用いられます。サンマリノでは、2人の執政が共同で国家元首を務めるという独特の制度が採用されています。

満洲国においては、建国から組織法制定までの間、国家元首の職名として「執政」が用いられました。愛新覚羅溥儀がこの職に就任しましたが、帝政への移行に伴い廃止されました。

関連事項として、執政官、帝政ローマ初期執政官一覧、執政政府、ブリュメールのクーデター、家老、参政、執権、摂政などが挙げられます。

このように、「執政」という言葉は、時代や国によって様々な意味合いを持って用いられてきました。日本の歴史においては、特定の役職名というよりも、国政を主導する人物を指す一般的な言葉として使われることが多かったと言えるでしょう。

もう一度検索