基本律 (オウム真理教)

真理国基本律と太陽寂静国基本律

真理国基本律（しんりこくきほんりつ）と太陽寂静国基本律（たいようじゃくせいこくきほんりつ）は、オウム真理教を国教とする架空の国家、真理国または太陽寂静国において最高法規として位置づけられています。これらの基本律は、1994年7月から8月にかけて青山吉伸の手によって初めての草案が作成されました。

概要

オウム真理教は、国家転覆を目指す計画の一環としてこれらの基本律を提案しましたが、教祖である麻原彰晃はその意図について疑問を呈しています。彼は、基本律は倫理規範を形成するためのものであって、国家転覆を狙ったものではなく、ミニ独立国のような遊び心から生まれたものだと主張しました。これに関連する文書には、『真理の御国の統治について』や「太陽寂静国刑律」の草案も存在します。これらの基本律は、前文と5章に分かれた20条から構成されています。

構成

前文

前文では、神聖法皇による建国の宣言と基本律の公布が記されています。

第一章 神聖法皇

第1条から第8条までがこの章を構成し、神聖法皇の持つ広範な権限が規定されています。神聖法皇は麻原彰晃であり、シヴァ大神の化身とされ彼には絶対的な権限が与えられています。

第二章 国民の権利義務

第9条から第14条までがこの章を担い、国民は「魂の向上を図る恩恵」を享受する権利があり、またオウム真理教に帰依し、修行を行う義務や納税の義務を負っています。さらに兵役についても規定されています。

第三章 神聖法皇位の継承および摂政

第15条と第16条では、神聖法皇の位継承や摂政に関する規定が設けられています。

第四章 真理国・太陽寂静国の国章、暦および首都

第17条から第19条では、国章、紀元、および首都に関する内容が記されています。

第五章 改正手続

第20条は、基本律の改正が神聖法皇のみが発議できることを規定しています。

オウム国家の政治と法律

公安調査庁は、これらの文書をもとにオウム真理教が国家転覆を図り、真理国や太陽寂静国の設立を試みていると指摘しています。関連文書では、神聖法皇が直接統治を行うため、選挙制度の必要性がないとされ、政教一致の独裁国家が想定されています。これにより、従来の天皇制は廃止され皇族は新たに民籍人となります。

新たな国名は、日本からオウム真理教の理念に基づく名称へと改められ、候補には「オウム国」や「神聖真理国」などが挙げられています。首都は富士山のふもとに設置され、「賢聖都」または「富士法都」と名付けられ、国章はオウム真理教の独自の紋章が用いられることとなります。

国民分類と法律

国民は僧籍人と民籍人という二つの階級に分けられ、僧籍人は教団のメンバーであり、一般の法律は適用されず、秘密金剛乗が適用されることとなります。また、さまざまな法律が制定され、刑罰としては特殊な形式のものが導入される計画がありました。

このように、真理国基本律および太陽寂静国基本律は、オウム真理教の主義の下に構想された法律体系であり、宗教的な至高性に基づく国家の形成を目指しています。

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