堀出神社 (ひたちなか市)

堀出神社：歴史と干し芋の里に鎮座する神社

茨城県ひたちなか市阿字ケ浦町に位置する堀出神社（ほりでじんじゃ）は、古くから地域の人々に信仰されてきた神社です。近代社格制度においては村社、神饌幣帛料供進社に列せられており、その歴史は江戸時代まで遡ります。

意外な創建秘話と徳川光圀公とのゆかり

堀出神社の創建は、隣接する村々の境界争いに端を発します。常陸国那珂郡では、磯崎大明神を祀る社を巡り、前浜村と平磯村が対立していました。1663年（寛文3年）、現地調査の結果、二重の水垣で囲まれた窪地から刀や槍が発見され、これが磯前明神の本体と判断されました。前浜村はこれを村の鎮守社として祀ることを願い出て、岡見吉為らによって小さな社が創建されたのです。これが堀出神社の始まりです。

その後、水戸藩の許可を得て1671年（寛文11年）に社殿が竣工、遷宮が行われました。そして、水戸藩主・徳川光圀公から神鏡が奉納され、現在も神体として大切に祀られています。この神鏡は、神社の歴史と徳川家との深い関わりを示す貴重な遺品と言えるでしょう。

明治時代には村社に、大正時代には神饌幣帛料供進社に指定され、太平洋戦争後には宗教法人となりました。1957年には、鎮座地である大字の名称が前浜から阿字ケ浦町に変更され、現在に至っています。

干し芋発祥の地と「ほしいも神社」

堀出神社のある阿字ケ浦町は、茨城県における干し芋発祥の地としても知られています。1895年（明治28年）、照沼勘太郎が日本で初めて干し芋の製造に成功した地なのです。この歴史を記念し、2019年（令和元年）には、境内末社として「ほしいも神社」が創建されました。

「ほしいも神社」の主祭神は宇迦之御魂神（うかのみたまのかみ）で、佐藤卓氏による設計の社殿は、現代的なデザインと伝統的な要素が見事に調和しています。境内には、干し芋製造に貢献した5人の人物を「ほしいもの神様」として顕彰する碑も建立されており、地域産業の歴史と発展が感じられます。

境内と祭事

太平洋を望む高台に位置する堀出神社は、約769坪の広大な境内を有しています。本殿のほか、第六天神社、月読神社、稲荷神社、難産除社などの境内社が祀られています。

祭事としては、毎年9月第1土曜日に例祭が執り行われます。そのほか、歳旦祭、節分祭、2月11日の難産除けや厄払い、6月第1日曜日の御田植祭など、様々な神事が行われ、地域住民の生活に密着した信仰が営まれています。祭事には、神社のマスコットキャラクターである「ほしいも仙人」が登場することもあります。

社名の由来と表記

「堀出神社」という名前は、創建時の逸話に由来します。窪地から神体となる遺物が掘出されたことから、この名がつけられたと言われています。ローマ字表記は「Horide Jinja」が正式ですが、「Holide Jinja」と表記される場合も見られます。

まとめ

堀出神社は、歴史、地域産業、そして信仰が一体となった、魅力的な神社です。徳川光圀公ゆかりの神鏡、干し芋発祥の地としての歴史、そして豊かな自然に囲まれた環境は、多くの参拝者を惹きつけ、静かな感動を与えてくれるでしょう。訪れる際には、歴史と自然に思いを馳せ、静かな時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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