堀江鍬次郎

堀江 鍬次郎の生涯と業績

堀江 鍬次郎（ほりえ くわじろう、1831年 - 1866年）は、幕末日本において著名な写真家であり、化学者として活躍しました。本名は忠雍（ただもち）で、彼の人生は多くの歴史的出来事と深く結びついています。

幼少期と教育

彼は津藩士堀江忠一の次男として江戸の藩邸に生まれました。若い頃から彼は学問に興味を持ち、1855年に下曽根金三郎に西洋砲術を学びます。その後、1857年には長崎に赴き、長崎海軍伝習所にてヨハネス・ポンペ・ファン・メーデルフォールトからオランダ学や化学を学びました。この時期、彼は写真家として名を馳せる上野彦馬と友人となります。

写真技術の習得

1859年、スイス人の写真家ピエール・ロシエが長崎を訪れ、本格的な写真術を堀江や上野、前田玄造らに教授しました。堀江はロシエに長崎を案内し、彼が撮影した写真には、寺院や相撲の観客、外国人居留地の様子が含まれています。これらの経験を通して、堀江は写真術への関心を深めていきました。

湿板写真機の購入

1860年もしくは1861年、藩主藤堂高猷の支援を受けて堀江は湿板写真機とその化学薬品を購入します。この時、費用は150両に達しました。堀江はこの新しい技術に魅了され、上野と共に津藩の江戸屋敷でも活用することにしました。1861年には、堀江が上野の姿を撮影する記録も残っています。

共同研究と出版

さらに、1862年には堀江と上野が共同で化学解説書『舎密局必携』を執筆しました。この書籍はオランダの化学教科書から内容を取り入れたもので、特に重要なのは、付録部分に「撮影術」としてコロジオン法とネガティブ法の紹介が含まれている点です。また、日本における初のリソグラフの説明も含まれており、堀江の知識の広さを示しています。彼は、その後有名になる写真家内田九一にも薬理学を教えるなど、教育者としても活躍しました。

晩年と死

1863年、堀江は天誅組の乱に出征し、次第に幕末の動乱に巻き込まれていきます。最終的には1866年、36歳という若さで病気によりこの世を去りました。彼の墓所は三重県津市の四天王寺にあります。

堀江の生涯は、写真と化学という二つの分野での貢献により、日本の近代化に大きな影響を与えました。彼の業績は後の写真文化の発展に寄与し、幕末という混乱の時代においても新しい技術の普及に努めたことは、今日の日本の文化においても評価されるべきものです。

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