七試艦上戦闘機

七試艦上戦闘機

七試艦上戦闘機（ななしかんじょうせんとうき）は、三菱[[航空機]]と中島飛行機によって1930年代に競争して試作された大日本帝国海軍の単座艦上戦闘機です。この機体は一般に「七試艦戦」と略称され、また八試複座戦闘機との関連から「七試単戦」とも呼ばれています。三菱の試作機は「A3M1」、中島の試作機は「A3N1」という略符号が与えられました。

概要

1932年（昭和7年）度より始まった海軍の機体試製3ヵ年計画により、九〇式艦上戦闘機を更新することが目的でした。そのため、1932年4月に三菱と中島の両社に対して七試艦戦の競争試作が発注されました。この頃、戦闘機の設計は複葉から単葉へと移行していく時期であり、中島は自社設計のパラソル翼単葉の陸軍九一式戦闘機をもとに、海軍の要求に合わせて再設計した機体を提案しました。一方、三菱はより進歩的な低翼単葉機を提示しましたが、最終的にどちらの設計も海軍の要求を満たすことができず、両方とも不採用となりました。その結果、海軍は九五式艦上戦闘機を次期艦戦として一時的に採用することにしました。

A3M1

三菱機は後に有名な零式艦上戦闘機を設計する堀越二郎技師が初めて設計主務者として担当しました。1933年2月末には試作一号機が完成し、次いで二号機も製作されました。社内での機種番号は「1MF10」とされ、1933年3月から飛行試験が始まりました。しかし、飛行試験の結果は厳しく、特に安定性に問題がありました。一号機は同年7月に行われた急降下試験中に垂直安定板が破損し墜落し、二号機も1934年6月に試験飛行中にフラットスピンに陥り墜落してしまいました。幸いにも、いずれのパイロットも二回とも落下傘降下によって無事に脱出することができました。

この機体は低翼単葉型で、総ジュラルミン製の骨組にメタル外皮の胴体と羽布張りの純片持式主翼を持ち、先進的なガーダー構造を採用するなどの特徴がありました。しかし、細部には未成熟な点が多く、墜落事故や操縦性、前方視界の悪さといった艦載機として致命的な欠陥があったため不採用となりました。一号機と二号機ではキャビンの脚の形式が異なり、一号機は剥き出しの三支柱式、二号機はスパッツで覆われた単支柱式が採用されています。

A3N1

中島機では、小山悌技師が設計主務者を務め、海軍の要求に基づいた九一式戦闘機の改設計が進められました。1932年秋には試作機1機が完成し、その後海軍による審査が行われましたが、性能が海軍の要求基準を満たしていなかったため、不採用となりました。九一式戦闘機からの主要な変更点としては、エンジンを中島の「寿五型」に変更し、プロペラを2翅から3翅に改造、全体の長さを短縮し、着艦フックなどの艦載機用装備を搭載したことが挙げられます。

参考文献

• - 野沢正 『日本航空機総集 三菱篇』 出版協同社、1961年
• - 野沢正 『日本航空機総集 中島篇』 出版協同社、1963年

関連項目

• - 戦闘機一覧
• - P-26
• - 風立ちぬ (宮崎駿の漫画) / 風立ちぬ (2013年の映画) - A3M1二号機の試験飛行が描かれている。

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