堂々川砂留群

堂々川砂留群（どうどうがわすなどめぐん）

堂々川砂留群は、広島県福山市神辺町に位置する、芦田川水系堂々川の流域において構築された砂防堰堤の集合体です。これらの堰堤は、江戸時代の中期から後期にかけて地元の備後福山藩によって建設され、その後も増改築や修復が行われ、現在も砂防ダムとしての役割を果たしています。その重要性が認められ、2006年には国の登録有形文化財に登録されました。

背景

堂々川は、福山市の中心部から北に位置する神辺町の東中条東山が源流であり、南に流れた後、神辺中心部を経て芦田川の支流である高屋川に合流します。この川は約4kmの長さを持ち、流域面積は約2平方キロメートルで、古くは「百瀬川」と呼ばれていました。川の名は、菅茶山がその流れを見て見出したものに由来すると言われています。

北側上流には、いくつかのため池が存在し、古代から人々が住んできた跡が見られます。この地域は古代備後国の国分寺や、交通の要所としても知られる場所でした。また、温暖な瀬戸内海式気候に影響されつつも、山から流れる花崗岩由来の土は崩れやすく、広島県では土砂災害の主要な要因とされています。江戸時代には、土砂災害による人命の喪失もあり、現在その記録が残るお墓も存在しています。

歴史

堂々川砂留群の構築は、延宝元年（1673年）に発生した大原池の決壊による土石流がきっかけとなりました。この災害では63人の命が奪われ、福山藩主の水野勝種が国分寺の再建に取り組むとともに、農民を守るために砂留普請を計画しました。1697年、様々な計画が立てられるも、実際に砂留が本格的に進められるのは享保2年（1717年）以降でした。

江戸時代から明治時代に至るまで、堂々川では数多くの砂留が築かれ、記録に残るものとしては、1721年の大原池、淀ガ池の築造や、1732年の鳶ヶ迫池などがあり、1832年や1835年には堂々川砂留の普請が行われました。しかし、これらの施設が砂防堰堤としての機能を持ち始めたのは明治30年（1897年）以降のことです。

近代以降の発展

明治以降は、砂防法の施行とともに、山地の防護が重視され、様々な工事が行われていきました。江戸時代に設置された砂留は、嵩上げや増築を繰り返しながら現在も機能し続けています。戦後になってから広く知られることとなり、1990年代には広島県による整備計画が策定され、多くの発掘調査が行われました。

自然環境と地域住民の活動

堂々川流域では約50基の砂留が確認されており、特に大原池砂留群や淀ガ池砂留群が注目されています。また、堂々公園が設立されており、地域の住民が中心となる「堂々川ホタル同好会」による環境美化活動が盛んに行われています。ここでは、ゲンジボタルや希少動植物の保護活動も行われており、自然との共生を促進しています。

交通手段

堂々公園へのアクセスは、井原鉄道井原線の御領駅から徒歩約35分、福山駅から車で約30分などがあり、訪れる者に多様な体験を提供しています。観光地としての魅力もある堂々川砂留群は、歴史的、文化的、自然的な観点からも重要な地域であり、今後もその価値が見直され続けることでしょう。

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