堂形のシイノキ

堂形のシイノキ

堂形のシイノキは、石川県金沢市広坂にある「しいのき迎賓館」の正面玄関前に左右対称に生育する2本のスダジイの老樹です。この樹々は1943年に国の天然記念物に指定されました。スダジイはブナ科に属する常緑広葉樹で、日本国内では最も北方に分布する種で、シイノキ（椎の木）と呼ばれる際には通常この樹種を指します。県庁舎が移転する以前には、県庁敷地内にある日本唯一の天然記念物だったため、地域における重要な象徴ともなっていました。

このシイノキに関する歴史はさまざまな説が存在していますが、江戸時代に加賀藩の騒動で有名な大槻伝蔵の屋敷にあったものが現在の位置に移植されたとされています。また、推定樹齢は300年から400年とされており、長い年月を経て数多くの人々に親しまれてきた代物です。

堂形のシイノキは、1924年に建てられた旧石川県庁舎の両脇に生育し、訪れる人々に癒しを与えてきました。2010年にはリニューアルが行われ、名称も「しいのき迎賓館」と改名され、金沢市民にとってさらに親しみのあるスポットとなりました。

この2本のシイノキは、そのサイズや高さがいくつかの資料によって異なりますが、より詳細な測定結果によると右側の木の根元の周囲は約12メートル、左側の木では約7メートルで、高さはそれぞれ13メートル、12.2メートルと言われています。また、専門家が行った調査によると、両樹はほぼ同じサイズと見られています。

歴史的には、この地域は「堂形」と呼ばれたことがあり、これは1592年に加賀藩の前田利家によって名付けられました。「堂形」という名前は、京都の三十三間堂から由来しており、加賀藩の米蔵の名称にも関係しています。堂形のシイノキが天然記念物に指定された際のこの地名は大変重要です。

また、金沢市の中心に位置しながら、周囲には兼六園や金沢城などの自然美に恵まれたエリアが広がっています。堂形のシイノキは、地下の根も含めて広大な生態系の一部として目立ち、周囲には他のスダジイの巨木も多く分布しています。

さらに、地域の郷土史家によれば、かつてこの付近には多くの樹木があったが、火事を防ぐために伐採されることが多かった中で、このシイノキが奇跡的に残ったともいわれています。自然と人間の歴史が絡み合ったこの場所には、多くの文化的・歴史的価値が詰まっています。

交通アクセス

堂形のシイノキへのアクセスは、北陸新幹線金沢駅から各種バスを利用することができます。兼六園口のバスターミナルからは、香林坊バス停に約10分で到着し、そこから徒歩約5分の距離です。自動車を利用する場合は、金沢西インターチェンジおよび金沢東インターチェンジからそれぞれ約20分の所要時間でアクセス可能です。

このように、堂形のシイノキは単なる樹木以上の存在であり、金沢市の文化・歴史を象徴する重要な資源となっています。

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