塔 (タロット)

塔（とう、The Tower）

塔はタロットの大アルカナに属する16番目のカードで、破綻や崩壊をテーマとした深い意味を持ちます。このカードの名字はフランス語で「神の家」を意味する「La Maison Dieu」に由来していますが、本来の意味は「火事の家」とされ、誤訳による名称だと考えられています。

意味と解釈

塔は、正位置と逆位置のどちらにおいても凶とされていますが、解釈によっては解放や改革の象徴ともなり得ます。正位置では、破壊、破滅、悲劇的な出来事やメンタルの崩壊を意味し、一方で逆位置では突然の緊迫、不幸、誤解を示します。アーサー・エドワード・ウェイトの解説では、悲嘆や転落といった意味が強調されています。

カバラとの関係

ヘブライ文字はペー（פ）で、いくつかの解釈がありますが、特に「黄金の夜明け団」の見解では、ネツァクとホドのセフィラを結ぶものとされています。

占星術的な関連

塔には様々な占星術的解釈が存在し、白羊宮、金牛宮、天蠍宮、磨羯宮が挙げられます。また、惑星に関連付けると、火星、木星、天王星、時にその組み合わせが考えられています。

寓画の解釈

一般的に、塔はバベルの塔とは異なり、神の家としての側面で解釈されています。このカードでは、天から降り注ぐ雷光は、ただの災害を表すのではなく、神からの聖なる力を象徴し、人々の自意識が外的要因によって解放される瞬間を表現しています。この瞬間は、人間が作り上げた構造から解放されることを意味し、その頂に存在する権力は実際には無関係であることを示しています。

塔のイメージには、炎や雷が描かれており、これらは神の力を象徴しています。特に、ウェイト版では歴史的背景に基づき、雷光が塔を打ち壊す様子が強調され、これが古来より神の力の象徴とされてきました。この破壊は、実際には新たな可能性の始まりを意味することもあるのです。

文化的な解釈

塔の破壊は、古代メソポタミアにおける宗教的な目的を想起させます。このように、塔は天と地をつなぐもの、または防御や監視の役目を果たす要塞としても解釈されてきました。現代においても、塔は政治や文化の象徴メディアとして用いられています。

しかし、このカードの塔は通常、人間の造り出したものであり、神聖な存在とは対照的に、対比を持たせて描かれています。塔から出てくる人物はその殻から解き放たれ、新たな段階へと進む様子を示しているかのようです。これは、さまざまな組織や信念に束縛されることから解放される過程を象徴しています。

まとめ

塔のカードは、失敗や悲劇の象徴であると同時に、そこからの解放や新たな始まりをも示唆しています。このように、塔はタロットの中でも特に深い意味を持つカードとして位置付けられています。

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