塔世橋

塔世橋（とうせばし）

塔世橋は、三重県津市の中心部を流れる安濃川に架かる国道23号（伊勢街道）の重要な橋梁です。この橋は、津市の橋北地区と橋内地区を分けるランドマークとしても知られています。朝夕の通勤時間帯を中心に交通量が多く、慢性的な渋滞が発生する地点でもあります。

歴史

塔世橋の歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。当初は土橋として架けられ、10年から15年周期で定期的に架け替えられていました。明治時代に入り、1878年（明治11年）には板橋に改められました。その後、1934年（昭和9年）12月には、国道23号の経路変更に伴い、コンクリート製の橋として新たに架橋されました。この時の橋は、延長90.3メートル、幅員18メートルという規模でした。翌1935年（昭和10年）には、安濃川の拡幅工事に合わせて橋も延長されています。

現在の塔世橋は、1992年（平成4年）3月に架け替えられたものです。しかし、架け替え前の旧橋の欄干は、太平洋戦争末期の津空襲の傷跡を今に伝える貴重な文化財でした。架け替えに際し、市民からの保存を求める声が高まり、欄干の一部が移設保存されることになりました。

概要

架橋年月：1992年（平成4年）3月
北詰：三重県津市栄町
南詰：三重県津市万町津
車線数：6車線

塔世橋の北側、県庁前交差点を過ぎて坂を上ると、右手に三重県警察本部、左手に安濃川を望むことができます。橋の南詰交差点以南は、幅員50メートルの8車線道路へと拡幅されます。

旧橋の被弾欄干

旧橋の花崗岩製の欄干には、1945年（昭和20年）6月26日と7月24日の津空襲によって無数の弾痕が刻まれました。これらの弾痕は、当時の爆撃の激しさを物語る生々しい証拠です。橋の架け替えに際し、市民の間から欄干の保存を求める運動が起こり、その一部が橋の南西部、三重県市町村会館前に移設されました。現在、この場所には説明板も設置され、津市に残る数少ない戦争遺跡として保存されています。

周辺情報

塔世橋の周辺には、伊勢街道や中勢バイパスといった主要道路が交差しており、交通の要衝となっています。また、かつて存在した塔世村の名残をとどめる地名も残っています。

外部リンク

安濃川 国道23号塔世橋
三重県戦争資料館/塔世橋・被爆の欄干（津市 文化課）

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 24三重県』角川書店、昭和58年6月8日、1643p.
西田重嗣『津市史 第五巻』津市役所、昭和44年3月15日、808p.
* 三重県歴史教育者協議会 編『三重の戦争遺跡 増補改訂版』つむぎ出版、2006年8月15日、314p. ISBN 4-87668-151-1

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