塚口慶三郎

塚口慶三郎

塚口 慶三郎（つかぐち けいざぶろう）は、明治7年（1874年）5月11日に生まれ、大正14年（1925年）10月30日に52歳でその生涯を閉じた日本の実業家です。和歌山県海草郡黒江町（現在の和歌山県海南市の一部）の出身です。

旧制中学校を卒業後、明治29年（1896年）に東京高等商業学校（現在の国立大学法人一橋大学）を卒業しました。同年、日本鉄道株式会社に入社し、約2年間にわたり同社の倉庫課で勤務しました。

その後、川崎銀行に転じ、庶務部長を務めました。大正7年（1918年）には、川崎銀行からの紹介という形で、当時隆盛を誇っていた鈴木商店（後の味の素株式会社とは別の、神戸に本拠を置いた総合商社）に取締役として派遣されます。しかし、第一次世界大戦終結後の大正9年（1920年）に発生した深刻な戦後恐慌により、多くの企業が打撃を受け、鈴木商店も経営危機に直面しました。この事態を受け、塚口は責任をとる形で取締役を辞任することとなりました。

鈴木商店を辞任した同年、東亜紡織株式会社の発起人の一人に名を連ねました。大正10年（1921年）には東京煉瓦株式会社の監査役に就任。さらに大正11年（1922年）には中央毛糸紡績株式会社の設立に関与し、その取締役に就任しました。大正12年（1923年）には、後の大手セメント会社となる秩父セメント株式会社が設立されるとその取締役に就任。同年には、日本フエルト株式会社の取締役も兼務するなど、短期間のうちに多様な企業の経営に参画していきました。

これらの他にも、北海道鉄道株式会社の専務取締役、東京毛織株式会社の常務取締役、総武銀行株式会社、東京電球株式会社、帝国堅紙株式会社などで取締役を務めた実績があり、その活動範囲は鉄道、金融、紡織、セメント、製造業など多岐にわたっていました。また、母校である東京高等商業学校の同窓会組織である如水会の理事も務めるなど、実業界だけでなく社会活動にも関わっていました。

私生活においては、神戸の著名な素封家であった塚口彦七の養子となり、明治26年（1893年）にその家督を相続しています。彼の旧姓は花崎でした。妻の八重は、大日本帝国海軍軍人である樺正董（かば まさただ）の長女にあたります。晩年の住所は北豊島郡西巣鴨町巣鴨宮仲（現在の東京都豊島区の一部）でした。

塚口慶三郎は、明治から大正にかけての激動期に、様々な分野で事業を興し、また既存企業の経営に深く関与した実業家としてその名を残しています。

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