塩古墳群

塩古墳群の概要

埼玉県熊谷市塩に位置する塩古墳群は、古墳時代前期を中心とする貴重な古墳の集まりです。この古墳群は、1960年に最初の支群が県の史跡に指定されたことから、その重要性が認識されてきました。塩古墳群は、7つの支群から構成されており、前方後方墳2基、方墳26基、円墳8基が存在しています。

古墳群の構造

古墳群は、特に古墳時代前期において多様な形態の古墳が築かれた地域であり、周囲の地形と組み合わさっている点が特徴的です。例えば、第1支群には、古墳群の中で最大の前方後方墳である狸塚1号墳があり、他にも狸塚2号墳が隣接しています。これらの古墳は、4世紀前半に築造されたと考えられています。

古墳群の位置関係を見ると、第3支群に隣接する嵐山町古里古墳群があり、一方、第4・5・7支群は、滑川を挟んで嵐山の陣屋古墳群と対峙している様子が見受けられます。1992年には、前方後方墳2基を含む地域が史跡に追加指定され、その後の調査によってさらに多くの古墳が確認されました。

主な古墳の詳細

特に注目すべき古墳として、第1支群に位置する狸塚1号墳があります。この古墳は、全長35.3メートルの前方後方墳で、後方部の辺長が20メートル、高さは4.2メートルです。前方部は幅11.7メートル、高さ1.2メートルあり、多くの遺物が発見されています。また、この古墳からは焼成前底部に穿孔がある壺形土器が出土しています。

次に、狸塚2号墳についても触れておきましょう。この古墳は、本来の1号墳の南西に位置する前方後方墳で、墳長は30.1メートル、後方部が20.1メートル、前方部が11.4メートルです。周囲からは有段口縁壺や鉢が出土しています。

さらに、塩西原18号墳は、径22メートル・高さ2.4メートルの古墳時代後期に属する円墳です。この古墳の主体部には砂岩の切石を積み上げた横穴式石室が用いられており、その構造は複室型となっています。副葬品としては、耳環や銅釧、管玉、琥珀玉、さらには刀など多岐にわたる品々が発見されており、これらは1998年に市指定の有形文化財として認定されています。

このように塩古墳群は、ただの古墳の集まりではなく、埼玉の歴史や文化を知る上で非常に重要な遺跡群と言えるでしょう。古墳群の調査や発掘は、これからも継続され、さらなる歴史的意義が明らかにされていくことが期待されています。

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