塩尻市地域振興バス

塩尻市地域振興バス「すてっぷくん」とオンデマンドバス「のるーと塩尻」

塩尻市が運営する「すてっぷくん」は、市内を網羅するコミュニティバスです。愛称の「すてっぷくん」は、親しみやすさを感じさせます。JR塩尻駅を中心に路線が設定されており、市民の生活を支える重要な公共交通機関となっています。2005年には、楢川村との合併に伴い、旧楢川村営バスを引き継ぎ、塩尻駅まで延伸して楢川線として運行を開始しました。さらに、2022年4月からは、オンデマンドバス「のるーと塩尻」の本格運行を開始し、より柔軟な交通体系へと進化しています。この記事では、「すてっぷくん」と「のるーと塩尻」の両方について詳しく解説します。

概要

「すてっぷくん」は、アルピコタクシーに運行を委託しており、塩尻市内には複数の路線が運行されています。一部路線は松本市や辰野町にも乗り入れており、広域的な移動ニーズにも対応しています。かつてはアルピコ交通（松本電鉄バス）の路線が市内を走っていましたが、モータリゼーションの進展により路線が廃止され、その代替として「すてっぷくん」が誕生しました。全路線が塩尻駅前を起点としており、中心市街地では、市役所前やえんぱーく前など主要な場所に集約されています。利用促進のためにルート変更などの取り組みが行われましたが、利用者の減少と運行委託料の値上げが財政上の課題となっていました。そこで、2022年4月1日からは、利用の少ない路線沿線を中心にオンデマンドバス「のるーと塩尻」の本格運行を開始し、路線バスからデマンドバスへの移行を進めています。2021年4月1日からは、全路線の一部区間でフリー降車制も導入され、利便性の向上が図られています。

沿革

「すてっぷくん」の歴史は、1999年7月12日に塩尻市初の市営バス運行開始に遡ります。当初は洗馬線、片丘線、塩尻東線、みどり湖・東山線の4路線のみでした。その後、宗賀線や広丘・吉田線などが順次運行を開始し、2005年の楢川村編入合併に伴い、楢川村営バスが塩尻市に移管されました。2006年からは、中心市街地循環線の試行運行を開始し、2007年には塩尻北部線や勝弦線（のちの北小野線）も運行を開始しました。その後も、利用状況に応じてダイヤ改正やルート変更が行われ、2018年には片丘線や楢川線などのルートが変更されました。2021年には、フリー降車制の導入や北小野線の夏ダイヤ廃止が行われました。また、同年10月からは、オンデマンドバス「のるーと」の実証運行が開始され、2022年4月1日には、中心市街地循環線が廃止され、「のるーと」の本格運行が始まりました。その後も、「のるーと」の実証運行範囲は拡大し、2023年、2024年には、みどり湖・東山線、塩尻東線、広丘駅循環線、塩尻北部線が順次廃止され、「のるーと」への移行が進んでいます。

路線

現在運行されている主な路線は以下の通りです。

洗馬線: 塩尻駅と洗馬地区を結ぶ路線で、旧洗馬循環線や小曽部線の一部経路をたどります。朝にはショートカットルートの便もあります。また、一部区間でフリー降車が可能です。
片丘線: 塩尻駅と片丘地区を結ぶ路線で、広丘駅を経由する便と百寿荘を経由する便の2系統があります。冬季は一部区間で迂回運転を行います。松本市との境界に近い倉村バス停付近では、アルピコ交通の内田線と乗り継ぎが可能です。なお、2024年4月現在、塩尻市地域振興バスでは唯一松本市に乗り入れる路線です。
宗賀線: 塩尻駅と日出塩地区を結ぶ路線で、旧松電バス日出塩線の経路にほぼ沿っています。楢川線と一部重複区間があります。一部区間でフリー乗降が可能です。
楢川線: 塩尻駅から奈良井宿に近い権兵衛橋までを結ぶ路線で、旧楢川村営バスを延伸したものです。観光利用を強く見込んでおり、日曜祝日も運行しています。一部区間でフリー降車が可能で、権兵衛橋から羽淵の間はデマンドバス（予約制）となっています。
北小野線: 塩尻駅と辰野町を結ぶ環状路線で、小野駅で辰野町営バスと接続できます。一部区間でフリー乗降が可能です。かつてはチロルの森バス停がありましたが、現在は廃止されています。

過去の路線

中心市街地循環線: 塩尻市中心部を循環する路線でしたが、オンデマンドバス「のるーと」へ移行しました。
みどり湖・東山線: 塩尻駅とみどり湖・東山地区を結ぶ路線でしたが、「のるーと」へ移行しました。
塩尻東線: 塩尻駅と塩尻東地区を結ぶ路線でしたが、「のるーと」へ移行しました。
広丘駅循環線: 塩尻駅と広丘・吉田地区を結ぶ路線でしたが、「のるーと」へ移行しました。
塩尻北部線: 塩尻駅と松本市内のまつもと医療センターを結ぶ路線でしたが、「のるーと」へ移行しました。

オンデマンドバス「のるーと塩尻」

「のるーと塩尻」は、ワンボックスカーで運行する予約制のオンデマンドバスです。市内には複数の指定停留所（ミーティングポイント）があり、電話または専用アプリで予約ができます。松本市内にも停留所があり、広域的な移動をサポートしています。路線バスの代替として導入され、利用状況に応じて運行範囲を拡大しています。2024年4月からは、塩尻北部線の代替として定期便の実証運行も開始されました。

運賃

地域振興バス「すてっぷくん」の運賃は、小学生以上1回乗車100円で、回数券もあります。オンデマンドバス「のるーと塩尻」は、大人1回乗車200円で、距離に応じて加算されます。

その他

車両: アルピコタクシー委託路線では、低床バリアフリー対応車が導入されています。「のるーと塩尻」ではワンボックスカーが使用されています。
車庫: 楢川線以外のバスはアルピコタクシー塩尻営業所に、楢川線は大新東の木曽平沢に車庫があります。
バス停: 白い柱に葡萄と棒人間でできたキャラクターと「すてっぷくん」の文字が描かれています。「のるーと」のバス停とはデザインが異なります。
フリー降車制: 一部の区間で、停留所ではない場所でも降車が可能です。
運休日: 楢川線を除く全線が、日曜日、祝日、年末年始（12月30日～翌年1月3日）に運休します。楢川線は年末年始も運休します。災害時や道路工事などで運休や迂回運行となることがあります。
迂回運行: 冬季（12月～2月末）には、積雪を想定して一部バス停を経由しない迂回運行が行われます。

まとめ

塩尻市地域振興バス「すてっぷくん」とオンデマンドバス「のるーと塩尻」は、市民の生活を支える重要な公共交通機関です。路線バスとオンデマンドバスの連携により、地域の実情に合わせた柔軟な運行体制を実現しています。今後も、利用者のニーズに合わせたサービス提供が期待されます。

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