松本電鉄バス

松本電鉄バス：歴史と路線網

松本電鉄バスは、アルピコ交通株式会社が運行する路線バスで、長野県松本市を中心としたエリアをカバーしています。その名称は、2011年3月まで運行していた松本電気鉄道株式会社に由来します。社名変更後も、地域住民からの愛着を考慮し、通称として「松本電鉄バス」の名称が継承されています。

この項では、松本電気鉄道時代のバス部門と、アルピコ交通の本社、東京支社（旧アルピコ交通東京株式会社）、大阪支社（旧アルピコ交通大阪株式会社）のバス路線について、詳細に解説します。

営業所の変遷

利用客の減少に伴い、路線網の縮小と営業所の統廃合が繰り返されてきました。

1984年: 松本、白馬、大町、池田、麻績、明科、豊科、浅間、塩尻、辰野、新島々の11拠点
1991年: 松本、白馬、大町、池田、明科、浅間、塩尻、新島々の8拠点
1992年: 松本、白馬、大町、明科、浅間、塩尻、新島々の7拠点
1997年: 松本、白馬、大町、浅間、塩尻、新島々の6拠点
1999年: 松本、白馬、大町、浅間、新島々の5拠点
2000年代前半: 松本、白馬、大町、新島々の4拠点
2009年12月16日: 白馬営業所と大町営業所を川中島バスに移管。現在は松本と新島々の2営業所体制。上高地バスターミナル内には冬季休業中の事務所があるものの、車両や乗務員の配置はない。

営業エリアの変遷

1984年当時の営業エリアは松本市、塩尻市、大町市など広範囲に及んでいましたが、路線廃止により大幅に縮小しました。現在は松本市を中心に、安曇野市、上田市、東筑摩郡山形村などを中心に営業を行っています。塩尻市についても、一部路線でわずかに経由地として残っています。

高速バス・特急バス

松本電鉄バスは、数多くの高速バス・特急バスを運行しています。主な路線は以下の通りです。詳細はアルピコ交通のホームページ「アクセス信州」をご確認ください。

新宿線: 松本バスターミナル - バスタ新宿
名古屋線: 松本バスターミナル - 名鉄バスセンター
大阪線（アルペン松本号）: 松本バスターミナル - 大阪（梅田）
高山線（アルプスライナー）: 松本バスターミナル - 高山濃飛バスセンター（濃飛バスと共同運行）
新穂高線（アルプスライナー）: 松本バスターミナル - 新穂高温泉（濃飛バスと共同運行）
松本 - 白馬線: 松本城 - 白馬八方バスターミナル（冬季運行、予約制）
松本 - 扇沢線: 松本バスターミナル - 扇沢駅（夏季運行、予約制、休止中）


2024年4月1日以降、高山線と新穂高線の一部区間は予約制となりました。また、高速バス長野-松本線は2024年3月31日に廃止されました。

路線バス（松本営業所）

松本営業所管内の路線バスは、2023年4月1日より「ぐるっとまつもとバス」に移行しました。系統番号は、百の位で循環線やタウンスニーカーを表し、十の位で経由地、一の位で松本バスターミナル発着を表す独自の体系が用いられています。

松本周遊バス（タウンスニーカー）

松本市内を循環する路線で、観光客に人気の路線です。複数のコースがあり、松本城や美術館などの観光地を結んでいます。2023年4月1日現在、北コース、東コース、南コースが運行されています。草間彌生デザインのラッピングバスも運行されています。

北市内線

松本駅周辺を循環する路線です。東回り、西回りの2系統があります。

横田信大循環線・信大横田循環線

松本駅と信州大学、横田地区を結ぶ循環路線です。

美ヶ原温泉線

松本駅と美ヶ原温泉を結ぶ路線です。

浅間線・新浅間線

松本駅と浅間温泉を結ぶ2つの路線です。

岡田線

松本駅と岡田地区を結ぶ路線です。

アルプス公園線

松本駅とアルプス公園を結ぶ路線です。

四賀線

松本駅と四賀地区を結ぶ路線です。

鹿教湯温泉線

松本駅と鹿教湯温泉を結ぶ路線です。（上田市へも乗り入れ）

並柳団地線

松本駅と並柳団地を結ぶ路線です。

寿台線

松本駅と寿台地区を結ぶ路線です。

松原線

松本駅と松原地区を結ぶ路線です。

内田線

松本駅と内田地区を結ぶ路線です。

空港・今井線

松本駅と信州まつもと空港を結ぶ路線です。

エアポートシャトル

松本駅と信州まつもと空港を結ぶノンストップ路線です。

大久保工場団地線

松本駅と大久保工場団地を結ぶ路線です。

山形線

松本駅と山形村を結ぶ路線です。

南部循環線

松本駅周辺を循環する路線です。（松本市が運行主体）

神林ライナー

松本駅と神林地区を結ぶ路線です。

合庁ライナー

松本駅と合同庁舎を結ぶ路線です。

美ヶ原高原美術館線

松本駅と美ヶ原高原美術館を結ぶ季節運行路線です。（運休中）

路線バス（新島々営業所）

新島々営業所は、上高地や乗鞍岳など山岳地帯への路線を運行しています。カーブの多い山岳路線のため、座席定員制となっており、立席乗車はできません。

松本 - 新島々 - 上高地線

松本と上高地を結ぶ路線です。

平湯・上高地線

平湯温泉と上高地を結ぶ路線です。（濃飛バスと共同運行）

乗鞍岳線

新島々駅と乗鞍岳を結ぶ路線です。

平湯・乗鞍線

平湯温泉と乗鞍岳を結ぶ路線です。（濃飛バスと共同運行）

新島々 - 乗鞍・白骨温泉線

新島々駅と乗鞍高原、白骨温泉を結ぶ路線です。

乗鞍高原 - 白骨温泉 - 上高地線

乗鞍高原、白骨温泉、上高地を結ぶ路線です。

コミュニティバス・委託バス

松本電鉄バスは、周辺自治体からの委託を受けて、コミュニティバスなども運行しています。

廃止路線・廃止区間

過去には、多くの路線や区間が廃止されています。これらは、利用状況の減少や、運行コストの高騰などが要因となっています。

東京支社（旧アルピコ交通東京）

アルピコ交通東京支社は、東京都内を中心とした高速バスや観光バスを運行しています。

大阪支社（旧アルピコ交通大阪）

アルピコ交通大阪支社は、大阪府内を中心とした高速バスや観光バスを運行しています。

車両

松本電鉄バスでは、いすゞ、三菱ふそう、日野の3メーカーの車両が導入されています。路線バス車両は、冷涼な気候を考慮して、かつては冷房車の導入が遅れましたが、現在は冷房化が進み、バリアフリー対応の車両も増えています。ハイブリッドバスの導入にも積極的で、環境保護にも取り組んでいます。

主要な出来事

1954年には、安曇村でスキー客を乗せたバスが転落事故を起こし、多数の死傷者を出しました。

参考文献

『バスジャパン・ニューハンドブック22 松本電気鉄道・諏訪バス・川中島バス』BJエディターズ/星雲社、1997年

脚注

(脚注は省略)

関連項目

アルピコ交通
川中島バス
諏訪バス
アルピコハイランドバス
中央高速バス

外部リンク

* アクセス信州（アルピコ交通）

もう一度検索