塩谷鵜平

塩谷 鵜平（えんや うへい）について

塩谷鵜平は1877年5月30日に岐阜県稲葉郡鏡島村で生まれ、本名は熊蔵、後に宇平と改名しました。彼は農業を営む裕福な地主の家に生まれ、俳人としての活動の他にも、銀行の頭取として地域経済にも貢献した多才な人物でした。

経歴

彼の学びは東京専門学校、現在の早稲田大学での邦語政治科で、1898年に卒業しました。農業経営をしながら中学時代から俳句に親しみ、その後正岡子規に師事します。初期には子規とともに「ホトトギス」に投句しましたが、自身の作品スタイルを模索しつつ、次第に河東碧梧桐に心酔。碧梧桐の影響を受けて自由律俳句の魅力に目覚め、彼の門人となり、詩作の幅を広げました。

鵜平は自身の句誌『壬子集』と碧梧桐が主宰する「海紅」に参加し、自由律俳句を詠むようになりました。特に1913年に発行した個人誌『土』は、彼の死後も長年にわたって続けられました。また、岐阜日日新聞の俳壇担当としても活躍しました。彼は1940年12月8日に64歳で逝去。翌年の1941年2月には海紅から鵜平の追悼号が発行されました。

彼の個人誌『土』の奥付には「発行所岐阜県在江崎しほのやウヘイ」と記載されていましたが、後に「しおのや」が正確であると指摘されています。

人物像

鵜平の家庭は代々続く大地主であり、彼自身も財力のある存在でした。特に鏡島銀行では頭取を務め、地域の経済にも影響を与えました。碧梧桐に私財を提供したり、作家藤枝静男を支援するなど、その財力を俳人や文士へのパトロン役としても活用しました。また、高浜虚子が経営する出版社「俳書堂」が資金難に陥った際には、彼の支援がありました。

このように、塩谷鵜平はただ単に俳人としての道を歩んだだけでなく、地域の文化や文学を育むためにその力を使った人物であり、彼の影響は今もなお岐阜の文化に残っています。自由律俳句の発展に寄与したことで、現代の俳句界にも名を残していると言えるでしょう。

参考文献

• - 早稲田大学紳士録刊行会編『早稲田大学紳士録 昭和15年版』
• - 森安理文著『最後の俳人文士・塩谷鵜平翁』
• - 岐阜県青少年センター編『風雪百年郷土にかがやくひとびと』

関連項目

• - 河東碧梧桐
• - 海紅
• - 自由律俳句
• - 俳人の一覧
• - 早稲田大学の人物一覧

外部リンク

• - 岐阜市歴史博物館
• - 自由律俳句結社「海紅」

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