境二郎

境二郎（さかい じろう）

境二郎は、天保7年（1836年）に長州藩士の斎藤貞順の次男として生まれました。幼名は斎藤栄蔵といい、後に境与三兵衛の養子となり、境二郎と改名しました。名は建直、字は子彦です。

若き日と吉田松陰との出会い

15歳で藩校明倫館に入学し、吉田松陰の教えを受けました。18歳で江戸へ遊学した後、帰郷。21歳の時に再び松下村塾に入門し、松陰の薫陶を受けました。さらに、塩谷宕陰にも師事し、学識を深めました。

長州藩での活躍

文久3年（1863年）には、明倫館の文章掛に任じられ、長府藩主の毛利元敏や徳山毛利家の毛利元功の指導役を務めるなど、藩の要職を歴任しました。この頃から、その才能を発揮し始めました。

明治維新後の活躍

明治2年（1869年）の藩制改革により、長州藩の権大参事に任命されました。その後、明治5年（1872年）に滋賀県参事、明治7年（1874年）には島根県参事となり、地方行政に携わることになります。島根県では、権令として県会開設に尽力し、明治11年（1878年）には島根県令に昇進。道路整備など、県政の発展に大きく貢献しました。

松下村塾の保存活動

明治16年（1883年）に官を辞してからは、故郷の萩に戻り、後進の育成に励みました。明治23年（1890年）には、かつて学んだ松下村塾の建物の保存活動を始め、同窓生や品川弥二郎らの協力を得て保存会を発足させました。この活動は、松下村塾が後世に継承される上で、非常に大きな役割を果たしました。

その死と遺徳

明治33年（1900年）2月9日、65歳でこの世を去りました。その功績を讃え、死後は「境二郎命」として松陰神社の祭神として祀られています。

参考文献

家臣人名事典編纂委員会編『三百藩家臣人名事典 ６』新人物往来社、1989年。
安岡昭男編『幕末維新大人名事典』上巻、新人物往来社、2010年。
* 海原徹『松下村塾の明治維新 : 近代日本を支えた人びと』ミネルヴァ書房、1999年。

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