境川 (諫早市)

長崎県諫早市の境川：豊かな自然と歴史、そして再生への歩み

境川は、長崎県諫早市を流れる一級河川本明川水系の河川です。その源流は、自然豊かな多良岳県立公園内にあります。多良岳から流れ出る水は、数々の滝を織りなす轟渓流を形成し、名水百選にも選ばれたその水質は、年間を通して14℃という一定の水温を保つ軟水です。

轟渓流：自然の恵みと観光地としての魅力

轟渓流は、大小30もの滝が連なる景勝地です。轟滝をはじめ、潜龍の滝、二見の滝、楊柳の滝など、変化に富んだ滝の景観は訪れる人を魅了します。この渓流の水源となっているのは、上流の「轟の森林」です。この森林は水源の森百選にも選ばれており、豊かな自然環境が育む清らかな水が、1日に6,150立方メートルもの流量で轟渓流を形成しています。

渓流沿いには、自然の恵みを活かした自然プールがあり、散策や水遊びを楽しむことができます。また、飲食店「轟涼庵」も併設されており、休憩や食事も楽しめます。年間を通して安定した水温と、その美しい景観から、観光地としても人気を集めています。

轟の森林：豊かな生態系と希少な動植物

轟渓流の上流に位置する「轟の森林」は、水源涵養林として重要な役割を果たしています。この森林には、国の天然記念物である「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」があり、希少なツクシシャクナゲが群生しています。さらに、同じく天然記念物であるニホンヤマネも生息しており、多様な生態系を維持している貴重な場所です。

アクセスと歴史：自然と災害、そして未来へ

境川と轟渓流へのアクセスは、長崎本線湯江駅からタクシーで約15分、または長崎県道136号多良岳公園線を車で走行する方法があります。しかし、2020年7月25日には、県道から下る遊歩道で崩落事故が発生し、通行止めとなりました。この事故により、母子3人が巻き込まれ、2人が死亡、1人が重傷を負うという痛ましい結果となりました。

事故後、遊歩道および長崎県道136号多良岳公園線は通行止めとなりましたが、県道は2020年9月9日に通行止めが解除されました。その後も、轟峡一帯は閉鎖されていましたが、2022年8月26日には、渓流を利用した自然プールと駐車場の一部が再開されました。現在も、安全対策を講じながら、自然と観光の両立を目指した取り組みが続けられています。

周辺の観光地

境川周辺には、山茶花高原ピクニックパークや白木峰高原など、他の観光地も点在しています。これらの観光地と合わせて、豊かな自然に触れ、心安らぐひとときを過ごすことができます。

境川の未来

境川と轟渓流は、豊かな自然と貴重な生態系を有する一方、災害リスクも抱えています。今後も、自然環境の保全と安全対策を両立させながら、この地域の魅力を未来へ繋いでいくことが重要です。

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