本明川

本明川（ほんみょうがわ）

長崎県の中央部を流れる本明川は、多良山系に源を発し、諫早湾へと注ぐ一級河川です。県内唯一の一級河川であり、その流域は豊かな自然と歴史に彩られています。2008年には諫早湾干拓調整池が水系に組み込まれ、流路延長と流域面積が県内最大となりました。

名称の由来

かつては「大川（うーかわ）」と呼ばれていましたが、1803年頃から「本明川」という名称が用いられるようになりました。しかし、その由来については、明確な記録が残されていません。

地理

本明川は、多良山系の五家原岳南西麓を源流とし、上流部では深い谷を刻みながら急な斜面を下ります。その後、南へと向きを変え、富川、湯野尾川、目代川などの支流を合わせ、諫早市街地を緩やかに流れます。河口付近では福田川、半造川、長田川などが合流し、諫早湾干拓調整池へと注ぎます。

産業と自然

中・下流域に広がる諫早平野や干拓地は、長崎県を代表する穀倉地帯として利用されています。川や用水路、河口干潟には多様な生物が生息していますが、諫早湾干拓事業により、干潟の生態系は大きく変化しました。流域の自然や産業については、干拓の里資料館などで詳しく知ることができます。

上流部の急流に対し、中・下流域は流れが緩やかで、支流が集中するため、排水不良が起こりやすいという特徴があります。江戸時代からたびたび洪水が発生しており、1699年の元禄水害では甚大な被害が出ました。この水害を教訓に、諫早の集落が現在の位置へ移動することとなりました。また、富川渓谷には、水害で亡くなった人々を弔うために作られた五百羅漢像があります。

1957年の諫早豪雨でも大きな被害を受け、その後、川幅の拡張や橋の架け替えなどの河川改修が行われました。現在では、毎年7月25日に、豪雨で犠牲になった人々を慰霊する川まつりが開催されています。

水系の変遷

かつては、本明川は急勾配のまま諫早湾へ注いでおり、長田川や半造川は独立した河川でした。しかし、急流や潮汐によって運ばれる土砂が堆積し、干拓が進んだことで、これらの川が本明川の支流となりました。さらに、諫早湾干拓事業により、湾奥部が調整池となったことで、周辺の河川も本明川水系に組み込まれました。その結果、流路延長や流域面積が大幅に拡大しました。

本明川ダム

現在、本明川の上流部には、治水と利水を目的とした本明川ダムが建設中です。

支流

富川
湯野尾川
目代川
福田川
半造川
長田川

参考文献

長崎県土木部河川課 ながさきの水辺
国土交通省 九州地方整備局 長崎河川国道事務所 - 本明川の情報
『長崎県大百科事典』1984年 長崎新聞社
『角川日本地名大辞典 42 長崎県』1987年 ISBN 9784040014203

関連項目

* 日本の川一覧

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