増井健一

増井健一の経歴と業績

増井 健一（ますい けんいち、1917年7月8日 - 2001年8月24日）は、日本の経済学者であり、慶應義塾大学の名誉教授として知られています。彼は交通経済学を専門としており、その研究は幅広い分野に影響を与えました。

生い立ちと教育

増井は静岡県浜松市にて、経済学者の父・増井幸雄のもとに生まれました。彼は慶應義塾幼稚舎、普通部、予科を経て、1940年に慶應義塾大学経済学部を卒業しました。在学中から彼は経済学に対する強い興味を持ち、卒業後すぐに助手として大学に残ることとなります。1940年には短期間の海軍現役に志願し、海軍経理学校で学んだ後、海軍主計中尉に任官されました。

軍歴とその後のキャリア

1945年には主計大尉に昇進し、終戦を迎えました。その後、1945年10月に復員し、慶應義塾大学の助教授に就任します。1955年に教授に昇格し、さらに1957年には商学部教授となり、商学部長を務めるなど、大学内での役職を次々と歴任しました。1983年に定年退職後は名誉教授となり、松阪大学でも教鞭を執りました。1994年には再び退職しました。

研究内容と業績

彼は父の影響を受けて交通経済学を専攻し、特にケネーの『経済表』を新訳するという重要な業務を引き継ぎました。交通に関する理論や実務的なアプローチについての彼の著作は、学界だけでなく実業界にも大きな影響を与えています。

著作

増井健一の代表的な著書には、以下のものがあります。

• - 交通論（海文堂、1963年）
• - 交通経済論（東洋経済新報社、1968年）
• - 交通経済論（佐竹義昌共編、有斐閣双書、1969年）
• - 都市交通講座 第2 交通と経済（鹿島研究所出版会、1970年）
• - 私鉄業界（教育社新書、1977年）
• - 日本の航空輸送（木村秀政共編、東洋経済新報社、1979年）
• - 航空輸送（山内弘隆共著、晃洋書房、1990年）

また、彼は翻訳者としても知られ、ケネーの『経済表』を戸田正雄と共に翻訳するなど、経済学の普及にも貢献しました。

逸話

増井健一には興味深い逸話もあります。1943年4月、彼は戦死した山本五十六連合艦隊司令長官の遺骨を地元の現地人のために通夜を行うという儀式を実施しました。この際、木箱に遺骨を納めてラプラプの布地で包み、祭りのように2時間交代で通夜を行ったと言われており、彼の人間性や信念が伺えるエピソードです。

まとめ

増井健一は交通経済学の研究を通じて、日本の経済学界に貢献した著名な学者です。彼の多岐にわたる業績は、今もなお多くの学生や研究者に影響を与え続けています。

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